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銀の花
登場人物 方淵、夕鈴
カップリング 方淵x夕鈴?

方淵x夕鈴ですが恋愛関係にはありません
・王宮のつくりを捏造しております。
不自然ですが話を成り立たせるために仕方がないので、
深く考えないで読めそうな方は

つづきからどうぞ

――――――――

廊下を磨いていると、足音が聞こえた。
立ち入り禁止地区なのになぜ?
疑問に思いつつも、夕鈴は作業をやめて、膝を折り頭を下げた。
前を通った人物の足元だけが見る。
夕鈴には目利きはできないが、靴や衣がなんとなく高そうだとは分かった。
きっと位の高い官吏なのだろうと思う。
何人かは、ここへの立ち入りを許可されているのかもしれない。
足音が小さくなってきたところで、夕鈴は顔をあげた。
そろそろ角を曲がるころだろう。
後姿を目に入れると、どこかで見たことがある。
「柳、方淵・・・?」
どうしてあの男がこんなところに?
頭を深く下げておいてよかったと思う。
国王の補佐官だからいつでも探しにこれるように許可が出ているのだろうか。
とは行っても黎翔自身こんな辺鄙な場所にはほとんどこない。
空き室ばかりのおもしろくもない一角に、
補佐官の彼は何をしにきたのだろう。
少し気になるが、自分には関係ない。
そう思って仕事に戻ることにした。
長い廊下がだもう今日中に完璧に綺麗にできそうだ。
「よーし」
気合を入れて袖をまくりなおし、雑巾を水につけた。
「おい」
「はいっ!」
雑巾をしぼっている途中で声をかけられ、驚いて床に落とした。
「・・・すまない。邪魔をするつもりはなかった」
声で先ほどの柳方淵だと分かる。
顔を見られないように、下を向いて床を拭きながら答えた。
「大丈夫です。あの・・・陛下ならこのあたりにはいらっしゃらないと思います。
お姿を見ることはありません」
声を少しだけ高くした。
「いや、・・・私は陛下を探しているわけではない」
方淵にしては歯切れの悪い返事だった。
なら、いったい何をしにここにいるのか。
掃除婦の格好をして首をつっこむわけにもいかないし、
長く話をしていたら正体が分かってしまうかもしれない。
いつも厳しい顔をして、陛下の問いにもテキパキ答える方淵とは様子が違うのが気になるが、
自分から聞くのはやめておこう。
夕鈴は自分に言い聞かせ、雑巾を桶に戻す。
膝を折り、頭を下げたまま方淵がいなくなるのを待つことにした。
方淵が去ったら、また再開だ。
「・・・」
「・・・」
しかし、方淵はその場を去らず、じっと夕鈴を見ている。
まさか気づかれたのだろうか。
黙っているのと、話しかけるのとどちらが怪しいかと考えるが、
気まずさに耐えられず夕鈴から話しかけた。
「あの、いかがなされましたか」
「お前」
「はい」
どこかで会ったことがあるかと聞かれたら、どういって誤魔化そう。
他人の空にと言って信じてもらえるのだろうか。
なんとか信じ込ませなければならない。
「書庫がどこにあるか知っているか」
「へ?」
「書庫・・・?ですか。どちらの書庫のことでしょうか」
「む、双華宮にある書庫はひとつしかないと聞いたが、複数あるのか。
西の国の調理師が書いた本を見たい」
夕鈴はしばらく床を見つめて、おずおずと答えた。
「あの、こちらは双華宮ではございません」
「…」
方淵は周囲を見渡して、
しばらくして庭にある一本の木を見つけると、ここがどこだか理解したようだった。
一本だけ頭ひとつ飛び出たそれは、後宮の外からも見ることができて、方向を教えてくれる。
いつも道に迷うことなど――しかも王宮で――ないのだが、
足を踏み入れたことのない場所に地図なしで来たのは少々無謀だっただろうか。、
「…理解した。最短で戻る道だけ教えてくれ」
「あ、はい」
夕鈴は目を合わせないように立ち上がり、方淵の前を歩くことにした。
「こちらでございます」
双華宮の書庫には、夕鈴がお妃教育の宿題をやるときに、
後宮の小さな書庫では資料が足りないときに見に行く場所だ。
音楽、舞や詩歌に関する書籍以外にも、
白陽国の文化、外国の文化についてなどの資料があって、あちこち見るだけでもおもしろい。
小さな廊下を何度か早足で渡れば、
すぐに到着する。
「この先を右に曲がると書庫でございます」
あまり先まで行くと、他にも人がいるかもしれない。
夕鈴は足を止めて、一礼した。
「世話になった。これを」
下を向いていた夕鈴の目の前に差し出されたのは、
銀細工の髪飾りだった。
蓮華のような細かい花弁の花に、紫色の宝石がついている。
方淵がこんなものをいつも持ち歩いているなんて奇妙だ。
「これは?」
よく分からずに尋ねると、方淵はその髪飾りを強引に夕鈴の手に持たせた。
「礼だ。先ほど商人が無理やり置いていったが、私には使いどころがない。もらってくれ」
「でも」
夕鈴が顔をあげて反抗しようとするが、方淵が先に手を離してしまった。
「口止め料だぞ」
「口止め料…?」

「すまないが、今日のことは、だれにも言ってくれるな」

急いでそう言って、背中を向けると、方淵はすぐに角を曲がっていなくなった。
夕鈴の手から髪飾りが落ちて、廊下に甲高い音が響いた。

「なによ、あんな顔できるわけ」


―――

(2013.5.23)

方淵はたまたま後宮に行く途中だった商人に鉢合わせて、
金を持ってそうなので営業されまくってキレたけど懲りずに飾りを押し付けられたという、感じです。
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いつも読み逃げで失礼させて頂いていましたが、どうしても気になりコメントさせて下さい・

方淵の以外な一面が可愛くて・夕鈴はあの簪をどうするのでしょうか・妃の時にはもちろんつけられないでしょうし、下町に行った時につけても、陛下チェックにあいますよねその辺りの後日談とか、書かれる予定はないでしょうか?何か面白い事態になることしか、私には想像できないのですが・ご検討頂けると嬉しいです・
ともぞうさんへ
こんばんは!
コメントありがとうございます。

方淵は決して方向音痴ではないと思うのですが、
天才タイプでもないかなと考えちょっと迷子になってもらいましたw
仕事でピリピリしてなければ、ときにはやわらかい顔もするんじゃないでしょうか…。

夕鈴はどうするんでしょう。
全然考えていませんでした←
この話、続くなら完全に方淵x夕鈴ルートにしようと思っていたのですが、
陛下がかかわってくるならもう1パターンですね~
ちょっと妄想してみます。
物騒な狼陛下しか出てきませんがなんとか甘くv
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secret


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