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陛下x夕鈴短編4つ
登場人物 狼陛下の花嫁
カップリング 陛下x夕鈴

ひとつ屋根の下に贈る5つのお題
より、

1 これは誰かの陰謀か?
2 ぎりぎりの境界線
3 意外すぎた真実
5 さりげなく、告白


の4つ。



サイト1周年&4万HIT御礼に、
原点である陛下x夕鈴の話を短編でちょこちょこアップする予定です。
これで終わらないといいな^^;

両想いだったり、片想いだったりいろいろ。

お題おかりしております。

サイト名:TV
管理人:かすみ様

だいぶ軽いです。
ありがちネタ?というか王道ネタというのか・・・


つづきからどうぞ
ひとつ屋根の下に贈る5つのお題

1 これは誰かの陰謀か?

「…」

次々と運び込まれる書簡や報告書をなんとか裁いていたものの、
だんだんイライラしてきて、
筆に墨をつけるのが雑になり、
できあがったものも整理せずに横に投げるようにして、
貧乏ゆすりがひどくなったころ黎翔は側近の目を盗んで逃げ出した。
長年の経験と勘から、
本当に急ぎの仕事は終わらせたと思ったときだったので、
悪いことをしているつもりはない。

「ゆーりん!」

癒されたくて、
後宮の部屋に飛び込む。
しかしそこに愛しい妃の姿はない。

「あれ?」

違う部屋にいるのかもしれない。
あたりを見回しながら、
黎翔はなにか手がかりがないかと部屋に置かれたものに目をやる。
卓子の上には茶や菓子があるが、
不自然に片側に寄せられていた。
茶は飲み干してあるが、
湯のみと急須はまだ熱いくらいだ。
そばに披帛がかけられていた。
これならまだ近くにいるかもしれない。
次の部屋へ移ったところで、
黎翔ははたと足を止めた。
投げ出されたように着物が広がっていた。
足元にもなにか赤い布が落ちている。
「これは?」
手触りから絹だと分かる。
手巾かなにかか、と思い広げて、黎翔は無言になった。
ひし形の布に紐のついたもので、
衣服の下につける上半身用の下着だ。
まだ人肌の温かさが残っている。
何事もなかったことにして、
もとあった場所へ戻すか。
他人の衣服を床の上においていいものか。
ふわりと花のような香りに気づく。
夕鈴を抱きしめるとかすかに感じるその香りが、
今はより強い。
「……」
後宮にあるものはすべて王に属する。
そして王が妃の衣服を手にしてもなんら不自然ではない。
それなのになぜこれを手にしていることに、
ここまで罪悪感を感じなければならないのか。
こんなものをこんなところに放置したのはだれだ。
夕鈴がどこで何をしているのかも気になるが、
今戻ってこられても困る気がした。
ひとまず冷静になり、
散らばっている衣服はすべてまとめて椅子の上においておこう。
それが最善の策だ。
そして自分はなにもやましいことはしていない。

黎翔はそう自分に言い聞かせて、
近くにある布類はすべてまとめた。
そのたびにふわりと花が香る。
何も考えないように、急いで動いた。





「へーか?!」
髪のまだ濡れたままの夕鈴が、
椅子に座っている黎翔に気づいた。
「あ、夕鈴。湯浴みしていたんだ」
「実はお茶をこぼしてしまって。
申し訳ありません。いらしていたなんて知らなくて」
「いいよー。急須に残ってたお茶もらっちゃった。
女官はいないの?」
後宮には普段常に何人かは女官がついているはずで、
いくら夕鈴があまり人を連れたくないとはいっても、
無人といことはありえない。
「あ、杯が割れてしまったので、片付けてもらったり、
やけどしたかもしれないって言って、薬をとってきてくれたりしてて、
みんなで慌ててしまったんです。
だれもお迎えできなくて本当にすみません」
「え、やけど?大丈夫だった?」
「はい…きゃっ」
床にしたたり落ちる水に、
夕鈴が足を滑らせる。
黎翔は持ち前の反射神経で、
立ち上がりながらしっかりと受け止めた。
「すみません」
「ううん」
先ほどと同じ香りがする。
今度はもっと微かなものとなって感じた。
黎翔に寄りかかる夕鈴の胸元から、
赤色の布が少し覗いて、
黎翔は思わず目をそらした。





2 ぎりぎりの境界線




白陽国の国王は昼寝が趣味だが、
転寝しているところを見られるのは、
本当に限られた人間だけだ。
例えば、その唯一の妃。

夕鈴は人気のない書庫で椅子に寄りかかる黎翔を見つけた。
黎翔はほんの少ない隙を見つけて寝ていることがあって、
うまく人の目を潜り抜けて、
きちんと見つからないようにしている。

「風邪引いちゃうんじゃないかしら」

本格的な冬ではなくても、
もう空気は冷たくなってきた。
黎翔は重ね着をしているが、
一枚一枚はそれほど暖かくなさそうだった。
近寄って、起こしてあげたほうがいいかと思うが、
目の下にうっすらできたクマを見ると、
それも憚られる。
しかしまさか寝具を持ってくるわけにもいかない。

「どうしよう」

「ん…」

眉間にしわがよった。
夕鈴はしばらく黎翔の顔を見つめていたが、
おそるおそる手を伸ばした。
目にかかっている前髪をよけ、
眉の間によったしわを伸ばすように撫でた。

「寝てるときまでそんな顔じゃ、疲れちゃいますよ」

ぼそりとつぶやく。
黎翔が起きていたら、
ここまで自分で近寄ることはできない。
相手が意識がないと思うと、
その綺麗な顔をこころゆくまで眺めることができた。
じっくりと永遠に見つめていたいくらいであったが、
すぐに視界が変わってしまった。

「え?!」

腕を強く引かれ、夕鈴は抵抗もできずに黎翔の腕の中にいた。

「へいか?起きてたんですか」

自分のしてきた数々の無礼を考え、
夕鈴は赤くなってから青くなった。
しかし返事はない。
耳を澄ませば寝息が聞こえる。

「なんだ…」

寝ぼけているだけのようだった。
すぐに腕から力が抜ける。
簡単に抜け出せるのだが、
夕鈴はすぐにそうしないで、
黎翔の背中に手をまわした。
一度だけぎゅっと強く抱きしめた。

寝ているときなら、
踏み出すのは簡単なのに。








3 意外すぎた真実



「ゆーりん!」

夕鈴は、目の前の背の高い男性の後ろに、
勢いよく揺れる尻尾が見えた気がして、
少し苦笑いした。

先ほどまで後ろから歩く官吏に冷たい視線を浴びせ、
一蹴してしまった陛下と同じ人物とは思えない。

「今日はねー早く仕事が終わったから、
午後はずっと一緒にいるよ」

「え?!いいんですか」

「たまにはいいの!僕にも休憩が必要だし」

にこっと笑う黎翔の声は嬉しそうだった。
つられるように夕鈴も笑顔になる。

人払いをした後宮で、
国王と夕鈴は二人きりだ。

下町で聞いていた狼陛下の噂と、
目の前の黎翔を比べて、
夕鈴はくすりと笑った。
こうして隣で笑うことがあるなんて、
だれが想像できただろうか。



5 さりげなく、告白


「はぁ」
「夕鈴…?」
夕鈴は、下を向いてため息をつく。
「私といるのに、ため息などついて。
妃を煩わせているものは何だ」
すかさず黎翔が夕鈴の顔を上げさせる。
夕鈴は下を向いたのもため息も無意識だったので、
不意をつかれて飛び上がった。
「な、なんでもないです!」
「なんでもないなら、
なぜそんな悲しそうな顔をする?」
ずい、と黎翔が顔を寄せ、夕鈴の顎を固定すると
夕鈴は泣きそうな顔で叫んだ。
「分かりました!説明するから演技はやめてください!
放してください!」
演技ではないのだが、
黎翔は言われたとおりに夕鈴を開放する。
そんなに嫌がらなくてもいいのに、
と少しショックを受けつつも、
話のできる距離まで離れた。
「実は、手のことなんですけど」
「手?」
「冬になってカサカサなんです」
とても悪いことのように言われたが、
黎翔にはあまりピンとこなかった。
夕鈴の手は、
小さくて、少し丸くて、
でもしっかりした手のひたと、硬くなった豆がある。
働き者の、魅力的な手だ。
「水仕事するから仕方ないんですけど、
女の子にとっては結構な悩みのタネなんですよ。
ね。陛下にとってはなんでもないことでしょう」
夕鈴は恥ずかしそうに笑った。
黎翔は少し考えた後、
夕鈴の手をとった。
「僕は夕鈴の手、好きだな。
いいお嫁さんの手だよ」
「ふふ、ありがとうございます。
早くお嫁にいけるといいんですけどねー」

(…もう来てるのに!)



 
ーーー

2012.11.18

ひとつ屋根の下に贈る5つのお題

1 これは誰かの陰謀か?
2 ぎりぎりの境界線
3 意外すぎた真実
4 戸惑いを断ち切れ
5 さりげなく、告白
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