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隣に
登場人物 青慎
カップリング なし

青慎視点で32話(7巻収録)あたり。独白です。

――――――――


うつむいたまま横を通った姉さんの、
横顔は一瞬しか見えなかった。
でもその目が少し赤くなっていて、
ぬぐい損ねた涙が残っているのは見逃さなかった。

「あれ 李翔さんもうお帰りですか」

父さんが(また)トラブルを起こして、
僕ではどうしようもできずに姉さんに手紙を書いてしまった。
仕事で忙しい姉さんに頼るなんて本当はしたくなかったのだけど。
几家のオババ様になんていったらいいか僕は全然わからなくて、
結局姉さんにお願いするしかなかった。
姉さんは大慌てで帰ってきてくれた。
なかなか会えなくて遠くに行ってしまった気がしたけれど、
こうして姉さんがいてくれることに、
申し訳ないと思いながらも
僕は自分で驚くくらいに安心してる。
でももっと驚いたのは、
今回のことで家に来たのは姉さんだけじゃなかったことだ。
この間姉さんが帰ってきたときに、
一緒にいた李翔さんが、姉さんの後を追うみたいにして、来てくれた。

李翔さんはとても不思議な人だ。
ふわふわとした笑顔と、
余裕のある雰囲気は、
僕の知っている大人の人のだれとも違っていて、
目の前で話すには少し緊張してしまう。
姉さんの恋人なんだろうけど、
姉さんは絶対に違うと言い張ってる。
でも、本当に何もないのなら、
忙しい役人さんが、わざわざ家のことで訪ねて来てくれたりするんだろうか。
僕にはわからないけど、

でも、
姉さん、

姉さんが突然家に来た李翔さんを引っ張って、
台所に入ってしまって会話は聞こえなかったのだけれど、
その後出てきた姉さんが、
泣いていたんじゃないかって思ったんだ。
僕がうんと小さいときから、
姉さんは絶対意地でも僕の前では泣かなかったよね。
寝台にうずくまって、
だれにも聞こえないように泣くことはあったけど、
僕には絶対見せてくれなかった。
僕が知っているのはこすりすぎて赤くなってしまった目と、
すれてぐしゃぐしゃになった袖だけだ。
そのことさえも、
無理に笑おうとする姉さんの顔を見ていると、
言えなくて、見なかったフリしかできなかった。

李翔さんの前では泣けるのかな。
きっと姉さんのことだから、
強がって、大丈夫とか、平気だとか、
そんなことしか言わないかもしれないけれど、
李翔さんなら、
そんな姉さんの意地っ張りなところも受け止めてくれるのかな。

僕の背中がまだ小さくて、
姉さんは僕を守ろう守ろうとしてくれるけど、
頼りにしてくれることはない。
いつかそれが逆になって、
姉さんが僕の肩に寄りかかれるようになったらいいなと思っていた。
でもきっと、
それは弟の僕の役目ではないんだろう。
僕が大きくなる前に、
姉さんの隣に、現れてくれた人は、
姉さんと一緒に幸せになってくれる人なのだろうか。
僕を守ることに一生懸命になって、
姉さんには自分の幸せを考える時間なんてなかったかもしれない。
姉さんの選ぶ人は、
そんな姉さんと、一緒に二人で幸せを作ってくれる人で
あるといいなあ。

僕が黎翔さんに話しかけると、
李翔さんは人懐こそうな笑顔で答えてくれた。

「うん今から宿探しー」

相変わらずふわりと笑う、李翔さんは、
やっぱりよくわからない人なんだけど、
悪い人ではないと思うんだ。




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