スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
夕鈴が転んだ!
登場人物 夕鈴、陛下、李順、方淵、水月、几鍔
カップリング 上記の人物と、xじゃなくて+。


・クリスマス休暇企画その1で
リクエスト内容は

「夕鈴が起こすアクションに対しての、それぞれ(陛下、李順さん、水月さん、方淵、その他)の反応。
例えば:寝ている夕鈴を見つけたら…とか、たまたま近くにいた夕鈴が転びそうになったら」

・内容はタイトルの通り。転ぶ前だったり、後だったり

順番
陛下【そこまで言わなくたって】
李順【笑った顔】
方淵【手をかそうとは言えないけれど】
水月【春の風に誘われたので】
几鍔【昨日も、今日も、きっと明日もいつものこと。】

ほんとは浩大と紅珠もいれたかったんですけど失敗した。

続きからどうぞ
――――――――――


【そこまで言わなくたって】 陛下


「わっ」
足が滑って、夕鈴は目の前の手すりに手を伸ばす。
王宮で渡される靴はすべり止めがしっかりしていなくて、
始めのころは結構転んだ。
だから今では、自分が転びそうになったらどうすればいいのか分かっている。
つかまるものを探せばいい。それだけ。
手すりの硬い感触を期待していたのに、
夕鈴を支えたのは冷たい金属ではなくて人だった。
顔をあげると、にこりと微笑まれる。
「大丈夫?」
「陛下・・・」
ちょうど黎翔に抱きつく形になってしまったので、
夕鈴は急いで離れた。
「すいません!」
「いいのに。もう少し君の体温を感じていたかったな」
黎翔の手が夕鈴の頬に伸びてきた。
冷たい指が触れると、カッと赤くなる。
「ふざけないでください、すぐそうやって演技して!」
「えー?本気だよ」
夕鈴が怒ると、黎翔の声は少し高くなる。
「夕鈴ならいつでも大歓迎だから」
「なに言ってるんですか」
「ははは。本当はもう少し話していたいけど、李順が呼んでるから行かないと」
「あ、はい。助けてくれてありがとうございました」
「いいよ、またね」
黎翔が後ろを向いたので、夕鈴も自分の目的の場所へと足を向ける。
普通に進もうとしただけだったのに、またバランスが崩れた。
今日の靴は、なんなんだ。
「ひやああっ」
目の前につかまるものなんてない。
黎翔以外は。
腰のところに勢いよく抱きついた。
「おっと、」
背中に衝撃を感じだが、それでも黎翔はしっかり夕鈴の体重を支えた。
「すいませ・・・」
顔がぶつかって痛い。
「どうした可愛い妃よ。そんなに私が恋しいか」
口元はにこりと笑う。赤い瞳は笑わない。
「ち、ちが・・・全然違いますっ!!!違う!」
「夕鈴、それはそれで傷つくよ・・・」












――――――――――



【笑った顔】 李順さんと



朝は雪が降っていたが、午後には雨になっていた。
そして今は、それもやんだ。
雨で中途半端に溶かされた雪は汚い色で、
その上を歩くともきゅ、もきゅ、と情けない音がする。
美しい光景ではない。
「汚い色ですね」
「そうですね。着物、汚さないでくださいよ」
「気をつけます」
茶をたてるための離れの茶室から戻るところだった。
李順の手には2人分の茶器と、茶菓子が入っていた籠がある。
「今日のお菓子、すごくおいしかったです」
「当たり前です。王宮に献上されるものですから。一口で食べるものではないのですよ」
「お茶がおいしいからつい」
おいしいものを食べれるのなら、妃として振舞うための特訓も、
もっと頻繁にあっても悪くない。
李順のたてた最高級の抹茶に、菓子も老舗から贈られた一級品。
夕鈴は思い出すだけでも嬉しくて、中途半端な景色を背景に踊るように歩く。
「今転んだら泥まみれですね」
「そうですね」
「下町はもっとぐちゃぐちゃでしたけど、
私よく弟の手を引きながら歩いていたんですよ。
なつかしいな・・・はわっ!」
ある意味李順の予想通りだが、こういうときに限って夕鈴は転ぶ。
もし転んでも手をかしてなんかやるものかと思っていたのに、
顔面から転びそうになるものだからしょうがなく茶器から手を放してしまった。
雪の残骸にすくわれることを願う。
夕鈴が地面に伸ばした手は泥にまみれる前に止まった。
「はぁ、まったく。期待を裏切りませんね」
「す、すいません」
李順の腕が腰を支えてくれている。
まっすぐに起き上がるのも助けてくれた。
「貴女は・・・」
文句を呟きながら、上から下、前と後ろと着物をチェックする。
泥はついていない。
「着物は無事なようですね」
「よかった~。ありがとうございます」
「まあ、今回は許しましょう。お茶も褒めてもらいましたし」
「り、李順さ・・・」
ふっと笑ってもらったことに感動していたが、
地面に目を落とした李順の顔色が変わる。
夕鈴の靴の下に、茶色いかけらが落ちていた。
「茶器・・・が・・・」
「へっ?!」
夕鈴は視線に気づいて靴をどける。
雪に救われた茶器も、人の体重がかかれば粉々だ。
「あ」
「夕鈴殿」
「はい」
「毎度ありがとうございます。お給料からいただいておきますね」
さっきの笑顔より、今の笑顔のほうが輝いているのは、なぜだろう。














―――――――――



【手をかそうとは言えないけれど】 方淵と


「ぎゃっ」
着物のすそが長いのが悪い。
そうだ着物が悪い。
だらだらと床まで伸びる衣を踏んでしまって、夕鈴は前のめりになった。
踏ん張ろうとしたのにその腹が立つほど滑らかな布で滑ってしまう。
「うえっ」
腰の帯がぐっと締まり、呼吸が一瞬止まったと同時に、夕鈴は後ろに引っ張られた。
勢いがあまって今度は後ろに倒れそうになったところを、
肩を抑えられ、停止する。
「貴女はなにをしたいんだ」
冷たい声が降ってきて夕鈴は後ろを振り向く、
ちょうど国王の臨時補佐官が夕鈴の帯から手を離したところだった。
「みません。お手を煩わしてしまって」
「粗野な言動は慎むべきです。廊下は走るものではない」
「別に走っていたわけではありませんわ。少し急いだら着物のすそを踏んでしまっただけです」
そう言われて方淵は妃の着物に目を向ける。
よく見るといつもより装飾品が多く、裾もゆったりとして優雅に床に流れていた。
「・・・どちらへ?」
「はい?」
「これからどこへ向かわれるのかと聞いている」
「謁見の間に呼ばれておりますの。なにか?」
なにかまた文句でも言われるのかと夕鈴は眉をひそめる。
李順が来賓のために忙しくして、夕鈴は自分で化粧をしなければならなかった。
そのため李順が施すものより質素だが、それほど華美でなくてもいいとは言われていた。
もう、言われた時刻より少し遅れている。
「申し訳ありませんが急いでいるので」
背を向けて歩き出すと、方淵に追い抜かされた。
「方淵殿?」
「そちらのほうに、私も用があるだけです」


また転ばれたりしたら、陛下に迷惑だから、見張ってやる。










――――――――――


【春の風に誘われたので】 水月さんと




「どうぞ」
あまりに自然に差し出されるので、なぜと問うのも忘れて手を重ねた。
「お足元が不安定ですから、どうぞ私を使ってください」
にっこりと微笑まれて、初めて夕鈴は足元に目をやる。
今から足を進めようとしていたのは、大小さまざまな石が好き勝手に転がる道だった。
確かに歩きづらそうではある。
夕鈴は、妃として腫れ物のように扱われるのも、
自分には相応しくないような丁寧な扱いも正直苦手だが、
水月の手なら、なぜか自然に受け取れる。
「水月さんはすごいですね」
「なんのことでしょう」
ふわりと微笑まれると、なにもかも忘れて爽やかな風に身をまかせたくなる。
今日はいい散歩日和だ。
後宮の庭は小さめだが、夕鈴のためになじみのある花も植えてもらって、
落ち着く場所のひとつでもある。
ここで水月の笛や琴の演奏を聴けたら、きっと素敵なことだろう。
水月も同じことを考えていたようで、ここで演奏できたらいい音が出るだろうと言った。
「ここは、王宮の中でも見たことのない庭です。質素ですが美しいですね」
自分の好きな場所を褒められて、嬉しくなる。
「そうなんですか。確かに官吏の方はいらっしゃらな・・・」
夕鈴の顔から血の気が引いた。
「水月さん」
「はい」
「ここ、後宮です」









――――――――――――

【昨日も、今日も、きっと明日もいつものこと。】 几鍔と



「ぎゃっ」
べちゃ。と嫌な音がしたので振り返る。
幼馴染が地面に倒れていた。
仕方がないので地面に膝をついて様子を伺う。
「おい、大丈夫か」
「いったー」
顔があがった。
「げ、几鍔。なんでいるのよ」
「あ?」
鼻の頭にどろがついているのがおもしろいので思わずつまんだ。
「ふぁっ、ちょ、なに!」
「いや、おもしれーなと思って。ほらよ」
手を差し出すと、夕鈴は一瞬不満そうでなにか言いたげだったが、黙って手を取る。
引っ張られて立ち上がる。
「いたっ。足くじいたかも・・・」
「なにやってんだ。ドジだなあ」
「うっさいわね。手かしてなんて言ってないんだから仕事に戻りなさいよ」
「はいはい」
几鍔は夕鈴の足首を見る。かすかにだが赤くなっていて、
放っておけば腫れてくるだろう。
「苦労がかかる幼馴染だな」
夕鈴が自分の足を見ている間に、担ぐようにして持ち上げた。
「え?!ちょっと・・・なにすんのよ!放して!」
「おとなしくしてろって。家まで送ってやるよ」
「歩けるからいいわよ」
「重いな、お前」
「なんですって?」
「肩にあたるはずの胸もねーし」
「サイテー!」
「まあ、礼は今日の夕飯でいいぜ」
「はあ?ちょっと、また家にあがる気?!」









―――――――――――ー

(12.22.2011)


陛下・李順・方淵→転びそうになったところを助ける
水月さん→転ぶような障害を排除する
几鍔→転んだ後に起き上がるのを助ける

そういうイメージです。



スポンサーサイト
 
コメントの投稿
secret


トラックバック URL
http://osakanaya3.blog.fc2.com/tb.php/51-df117a70

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。