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とおりゃんせ 1
登場人物 陛下、夕鈴メイン
カップリング 陛下→(←)夕鈴


ちょこちょこ注意事項です

・夕鈴が王宮からいなくなった後の話
・視点がばらばらなので『*』で区切って、さらに小分けにしております。


続きからどうぞ
――――――――

昼前の下町は騒がしい。
道のあちこちで、各々好き勝手な文句を叫びながら物売りが歩く。
食堂からは食欲をそそるにおいが立ち込めて、
砂埃に混じって舞う。

そこを、黒い衣で頭まで隠した男が通る。
昼の明るい雰囲気にはそぐわないが、
ものと人の溢れる町ではそれほど人目を引かなかった。
白陽国の国王は、護衛もつけずに大通りを進む。
時々商人に話しかけられるが見向きもしなかった。

「だからもー、しつこいわね!」

聞き覚えのある声は、どんな人ごみであろうとよく通るハリのあるものだ。
「ゆうり・・・」
独り言ほどの音量で名前を呟いて、
黎翔は声のしたほうを見る。
彼女の隣には、彼女の幼馴染がいた。
会話の内容は耳には入らない。
ただ見たことのない彼女の笑顔だけ、見たくもないのにそこから目がはなせない。
夕鈴がこちらに向かって歩いてくる。
そのまま、顔も見ないで通り過ぎた。








「陛下」
「・・・」
床に散らばった備品を見て、李順は渋い顔をした。
机の上も同じように悲惨な状態である。
大きな音がするから慌てて来てみたら、面倒なところに出くわしたとしか言いようがない。
面倒なのだ。この人は。
幼いころの人格形成の段階でなにか誤ったか、と李順は自分にも一瞬責任を感じたが、
それはこの人の育った環境が悪かったわけで、
自分もあのころの年齢のわりには世話をやいたほうだと思っている。
大事なものなんて持つなと教えられて、
大切な人の守り方も知らずに手放して、
そして今。
夕鈴が王宮を出てから少し沈んでいたのは分かっていたが、、
まさか朝仕事を全部片付けて、勝手に出て行くほどまでとは思わなかった。
仕事を片付けないと席をはずせない程度には『王様』が体に染み付いていてよかった、
と少々不謹慎な考えが李順の頭に浮かんだ。
「なんだ」
自分で声をかけたのも忘れたころに返事が返ってきた。
「いいえ、どこへおいでかと心配していただけですよ」
「もう戻った」
「見れば分かります」

昔の貴方だったら、ぼろぼろかまわず泣いていたでしょうね。
散らばった筆や墨を見て思う。
涙なんて一滴も流れない代わりに、床には黒い墨が広がっているのだろうか。

ですが貴方が言ったんですよ。
彼女に帰れと言ったのも、彼女を手放すのを決めたのも、貴方です。

かわいそうなどという言葉が似合うとは思えなかったが、
自分の心の扱い方も学べなかったことを、気の毒だとは一応思う。
しかしその立場を交代できないし、
彼女をまたつれてくることもきっとできない。
「失礼します」

私だって、貴方の横で学んだ仕事は、とても限られたものでしたから。








―――――――――

(12.17.2011)

ある方の名言「夕鈴はだれとでも幸せになれるけど陛下は夕鈴がいないと幸せになれない」を、
メールで紹介されたその夜陛下が脳内でゆーりんゆーりんうるさすぎて寝れないので、
寝ながら枕元のメモ帳にセリフ書きなぐっていたんですが、
それでもうるさいのでああもう寝れないからいいよネーム描くから!って思って漫画にしたら完成しなさそうなので、
文章にすることにしました。

ていう経緯の小説です。終わりはできているから続く予定です。
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