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雪の温度
登場人物 陛下、夕鈴
カップリング 陛下x夕鈴

・短い

続きからどうぞ!

―――――――――

雪の降り積もった庭園で、
2つの影が動いている。
この国の王と、その唯一の妃が並んでいる。
お互いの上衣が触れないくらいの距離があいていた。
夕鈴の肩が少し震えた。
先ほどから夕鈴は、袖に覆われた手にずっと白い息をかけている。
今日は、空気が冷たい。
「そろそろ戻ろうか」
「そうですね」
夕餉の後で、食べすぎたからと自主的に散歩に出たのは夕鈴なのに、
彼女は勝手に付いてきた黎翔よりも薄着だった。
上着を貸そうと申し出ても、受け入れてくれない。
食休みには十分な距離を歩いただろうから、
そろそろ足を戻してもいいだろう。
行き先を180度戻して、また2人は歩き出す。
朝に雪かきをしているはずだが一日降っていた雪はまた積もってしまっている。
足跡は2人分しかなく、音もない。
黎翔は上衣の中に隠れている自分の手を握った。
いつも手が冷たくて、冬になってから夕鈴に触ると拒否される。
理由は分かるが少し傷つくから、今日は歩きながら手が冷えないように注意していた。
温かいとはいえなくても、氷のような冷たさではない。
室内に戻る短い間だけ、今は着物の袖に隠れている小さな手を、自分の手と重ねて歩きたい。
そういうささやかな計画をたてていた。
「陛下」
黎翔が、夕鈴、と名前を呼ぶより少しだけ早く、夕鈴が黎翔を呼んだ。
「なに?」
「あの、手を少しお借りしてもいいですか」
心を読まれていたのだろうか。
それとも手をつなぎたい、と口に出してしまっただろうか。
少し驚いたが、黎翔はおとなしく自分の手を差し出した。
彼女のことだから、きっと手をつないで歩こうだなんて言い出さないだろうし、
いったい何を考えているのかは興味があるところだ。
「うん。どうぞ」
夕鈴の指は細くてくすぐったい。
ずっと息をはいて暖めていたからか、夕鈴の手はいつもより温度が高い気がした。
これでは、せっかく衣の中で冷えないようにしていた手も、冷たいと思われてしまいそうだ。
夕鈴は、黎翔の手を握って怪訝な顔をする。
「どうしたの?」
「今日は冷たくないんですね」
「まあね」
気づいてもらえたようだった。
しかし夕鈴は、あまり嬉しそうに見えない。
離れそうになった手を、黎翔は握って引き止める。
「冷たくないでしょ。だからこのまま歩いていい?」
指をからめて強く握った。
「え、あ、はい」
夕鈴がうなずくので、そのまままた歩き出す。
数歩歩いたところで、小さな呟きが聞こえた。
「・・・意味なかったな」







――――――――





「なにが?」
「え?」
「なにが意味ないの?」
「なんでもないですよ」
「夕鈴、こうして手をつないで隣にいるのに、悲しいことを言わないでくれ」
「っ・・・!」
「どうして目をそらすんだ」
「陛下が見てくるからです」
「私は君の独り言の意味を尋ねただけだ。私といるこの時間に、意味がないと言うのか」
「ち、違います。そうじゃなくて・・・」
「そうでないなら、なんだ」
「陛下の手が冷たくないなら、手を暖めても意味なかったなって思っただけです」
「・・・」
「・・・」
「ありがとね」
「にこにこしないでください」
「あったかいよ」
「私がいなくてもあったかいんじゃないですか」
「夕鈴がいると心もあったかい」
「・・・陛下、私は寒いです」


―――――――――

(11.26.2011)

陛下と夕鈴は、
思考回路とか、価値観とか違っているのに、
なぜか相手と同じことしてたり、同じこと考えてたりしてたらかわいいなと思ったのですけど。

はやくくっつかないかな。
来月どうなの。
気になる。
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