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代わりに
登場人物 陛下、夕鈴
カップリング陛下x夕鈴

・短め明るめ、軽い話

続きからどうぞ!
――――――

「夕鈴」
桜の咲く春のこと。
おもむろに黎翔は夕鈴の頬に触れた。
顔がぐっと近くによって、夕鈴は自分が全身から湯気が出そうなほど熱くなるのを感じた。
「あ、」
黎翔の指が、薄く開いた夕鈴の唇へと伸びる。
頬が固定されて顔をそらすことができない。
ここで瞳を閉じたら、自分から口付けを願っているように思われそうで、
それは恥ずかしくてできない。
そして、長い指は軽く唇に触れた。
「花びらついてるよ」
「へ?!」
緊張して緊張して、でもいっそ目を閉じて流れに身をまかせてもいいのかも・・・
夕鈴がそう思って自分の手を握り締めたところで、
黎翔の明るくのんきな声が響く。
その指には、小さな桃色の花びら。
「風に舞ってきたんだね」
にこにこと微笑む黎翔とは裏腹に、夕鈴は涙目で赤い顔をしている。
「へ、へいか・・・」
「どうしたの?」
「へいかのばかぁ!!」
「え?!」
すぐにこの場から離れようと、夕鈴は室内に足を向けた。
恥ずかしい。
恥ずかしい恥ずかしい。
1人で勝手に、この人と口付けをするのはどんな感じなのだろうと一瞬想像してしまったことが嫌だ。
桜の木の下で2人っきりだったから、少し変な気分になってしまったんだ。
「ちょっと待って!」
走ろうとした夕鈴の腕を黎翔がつかむ。
動けないまま捕らわれてしまった。
「僕なにかした?」
「う・・・」
悪いことをされたわけでもない。
ただ、勘違いしただけで。
だがそういう勘違いすることばかりしてくるのがこの目の前にいる男だ。
「陛下が顔を近づけてくるからです」
「だって花びらがついてたから」
「あんなに近づく必要ないし、言ってくれたらよかったじゃないですか!」
「嫌なの?」
「嫌です!頬に手をあてるのもやめてください」
はっきりとした拒絶の言葉が黎翔の心臓にぐさっと刺さった。
そんなに、嫌がらなくてもいいものを。
「君は、桜の花びらには唇を許すのに、夫の私は頬に触れることさえ拒否か。
それは受け入れられないな」
先ほどよりも、さらに2人の顔は近い。
「うぇ、あ、わ、わ・・・」
近づいてくる距離と同じだけ夕鈴の足は後ずさる。
だがそれも途中で黎翔が腰に手を回してきたため、止められてしまった。
「どうして逃げる?」
「近いからです」
「それになんの問題がある」
「問題ありまくりですよ!さっきだって、私、く・・・口が、当たるかと思って・・・」
夕鈴の声がだんだんと小さくなる。
そこで、少しだけ手が緩んだ。
2人の間には、会話をするには少し近すぎるくらいの距離がある。
「夕鈴、期待してたの?」
「き、期待ー?!」
まさかの発言に夕鈴は口を閉じれなくなった。
「違います」
「顔が近かったのに何もなかったからがっかりしたんじゃないの?」
「違いますー!」
「いいよ恥ずかしがらなくて」
「違います」
混乱して同じことしか言えない。
「ねえ夕鈴。本番、今からする?」
綺麗な弧を描く唇と、紅い瞳から目がそらせなくなる。
少しは離れていたと思った距離は、気が付けばなくなっていた。
熱い吐息を感じる。
この人は、どんな味がするんだろう。





「ぎゃーーーーーーーーーー!」
悲鳴をあげて、自分の悲鳴に驚くように夕鈴は飛びはねた。
目の前には机がある。
手にしているのは寝具。
自分の部屋だ。
「ゆ、ゆ・・・夢・・・」
「なんの夢見てたの?」
「え?そ、それは陛下と・・・っうぇえあ?!」
普通に途中まで答えてしまったが、目の前で夕鈴の髪を漉いているのは
先ほど自分の腰をかかえていた黎翔だ。
「くくっ・・・すごい叫び声だったね。僕と、なに?」
少し抑えたように笑って、黎翔は夕鈴をじっと見る。からかうような瞳だ。
「ななななんでもないですよ。なんでここにいるんですか」
「早く起きすぎちゃった」
「答えになってない気がしますけど」
「そうかな。ねえ夕鈴、どんな夢だったの?」
「え?えっと、」
見つめられる動けなくなるのは、夢も現実も一緒だ。
正直なことは言いたくない。
「一緒にいる夢でした」
適当なことを言おうとは思ったけれど、これは適当すぎるだろう。
一緒にいて何をしたとか、もっと細かいことを聞かれるに違いない。
自分の嘘の下手さには本当にあきれてしまう。
「そっか」
しかし黎翔はそれ以上は尋ねず、幸せそうに笑った。
「夢の中でも一緒にいれるなんて、嬉しいな」
一緒にいたと言っただけで、あまりにも嬉しそうに笑うから、
夢のことがより恥ずかしくなってしまった。
恥ずかしいのだけど、やっぱり思ってしまう。
言葉を紡ぐ黎翔の唇に視線が移る。
その頬に手を伸ばして、夢と同じ距離で、貴方の体温を感じることができたら。
そんな考えが頭に浮かんで、体が火照る。
その邪念をかき消すように、夕鈴は強く首を横に降った。
自分の手首に、花びらのように残る赤い後には気づかない。


―――――――――

(11.11.2011)

やきもちを妬く陛下で、花びらにさえ妬く陛下を考えていたのですが、
そこから派生してしまったもの。
夕鈴からキスしたいって思っていてもいいと思います。
好きな人がいたら、女の子だって触りたいとかキスしたいとか思うのも普通だと思うので。
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