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これからも
登場人物 陛下、夕鈴、方淵、水月
カップリング なしだけど原作どおりに夕鈴→陛下です

・夕鈴が1人でバタバタしているだけ
・27話以降のつもりですが、本編関係なし

続きからどうぞ!
――――――


「最近夕鈴って、方淵と仲良いね」
「そうですか?まあ、前よりはマシですけど、仲良くはないですよ」
「そっか」
「そうですよ。もう陛下ってば変なこと聞くんですね」
このとき、私はもっと首を激しく横に振って、思いっきり否定しなくてはならなかった。
そのことを後悔するのは一週間後のこと。





「あら、方淵殿、その荷物は?」
と私は口にしたのを後悔した。答えは決まってる。
「貴女には関係ない」
はい、やっぱりそうですよね。貴方がなにをどう運んでいようが、
私には関係ないですね。ごめんなさいね聞いちゃって!
「・・・と言いたいところだが、これは引継ぎ用の書簡や書物です」
「引継ぎ?」
嫌味や説教ではない返事が返ってきて、ぽかんと口をあけてしまう。
引継ぎって、どういうこと?
「明日から地方へ赴くが、私がいなくなったからといって軽率な行動は慎むことだな」
「な、なんですか軽率って・・・」
「それと、これを後ろの者へお願いします」
「わ、なに」
柳方淵は私に向かって一束書物を投げ渡した。
がさつなのはどっちよ!
「失礼」
短い挨拶だけ残し、足早に去っていってしまう。
一挙一動いちいちむかつくわね。
後ろの人ってだれ?
後ろを振り向くと、すぐ近くに人影があった。
「わ」
「相変わらず不器用な言い方ですね、彼は。貴女のことを心配しているんだと思います」
「水月さん、こんな朝早くから出仕されて!嬉しいです!」
水月さんが午前中からいるなんて、感動もの!!
水月さんはいつものようににっこり笑って答えてくれる。
「今人事異動が多くあって、皆忙しいそうですよ。
数日前から早めに出仕するよう怒鳴られていたのですが、今回は折れました。
そちらは私が預かりますね」
「これは?」
投げ渡されたものを水月さんに手わたした。
その場で水月さんがパラパラ中身を見て、小さくため息をつく。
「『引継ぎ』です。彼から来ると細かくて、面倒だから嫌なのですが、仕方ないですね」
「方淵殿は、地方に行くって言ってましたけど・・・」
「そうですね。明日から、ここも少し静かになるかもしれません」
え?




「へ、へい、陛下!」
自室で休憩中の陛下のところへ駆け込んだ。
全力で走りすぎて息が切れてしまう。苦しい。けどそれどころじゃないのよ!
「どうしたの夕鈴?新しい挨拶なの?」
のんびりと陛下の返事が返ってくる。
「あの、陛下忙しいですか?」
机の上になにもないから、仕事中というわけではなさそうだった。
「え、いつも通りだけど。なんで?なにか大事な話でもあるんだったら時間作るよ」
「いえいえ、違います!ただ、今人事異動がいろいろあって、忙しいって聞いたんですけど・・・」
「まあね。でも人事異動なんていつもあるし、今は普通だよ」
陛下の機嫌はまあ良い。今なら答えてくれる気がする。
「方淵殿も、地方に行くですよね?」
「方淵?」
陛下が不思議そうな顔をした。
私が突然柳方淵の名前を出すのは不自然だって自分でも分かる。
急いでなにか付けたししないと。
「えと、水月さんが、明日から方淵殿がいなくて静かになるなって言うから」
陛下はこれで納得したようで頷いた。
「あ、なるほどね。確かにそうだね。
夕鈴も口喧嘩の相手がいなくなって、気が抜けちゃうかな」
陛下がにこにこ笑っている。私がどうのこうのって問題じゃないんですよ。
問題は、陛下大好きの柳方淵が地方へ飛ばされるってことですよ!
陛下だって柳方淵の陛下好きを知っているのに、
やっぱりそういうところに感情は持ち込み禁止なんですよね・・・。
まさか先日私が方淵殿と仲良いってことをちゃんと否定しなかったから、
気に入らなくてってことはないですよね。
バイト妃が他の人と仲良いのが気に入らないなんて、
そんなくだらないことでこんなことしませんよね?
「そういうのって、全部陛下が決めるんですよね」
「うん」
「いつ帰ってくるのかも、陛下が決めるんですか?」
「うーん、決めるときもあるけど、今回は仕事が終わったら帰ってきてって言ってあるよ。いつだろうね。一生かかったりしてあははは」
う そ。
「まあ、冗談だけど・・・って、夕鈴?いなくなっちゃった」
陛下ひどい!
柳方淵は口も悪いし目つきも悪いし思いやりがないけど、
陛下への忠誠心だけは本物なのに!
廊下を走って後宮の自分の部屋に戻ることにした。
あんなに毎日陛下ばっかり見ているのに、突然地方へ行くことになって、
さすがの柳方淵も悲しんでいるかもしれない。
なにか餞別をあげないと。
元気出してって言わないと。
喧嘩仲間だけど、陛下が好きっていう気持ちはやっぱり分かる。
中央から離れろっていきなり言われたら・・・
私だって、いつクビになるか分からない身分だから、
その言葉に怯えている。
陛下のそばから離れなきゃいけないその瞬間が怖くて怖くてしょうがない。
あの男のことだから、人前でつらそうなところなんて絶対見せないと思うけど、
それでもへこんでいるに違いないわ。

疲れてきたから足を止めて、ここからはゆっくり歩くことにした。
少し人の声が聞こえる。
あ、あれは・・・方淵のお兄さん?
名前忘れちゃったけど、あのにやにや笑いは覚えている。
「あいつが消えると思うとせいせいするな。そのまま帰ってこなければいいのに」
その言葉に衝撃を受ける。
いくら嫌いでも、兄弟でしょ。応援するとか励ますとか、他の言葉があるでしょ。
柳方淵がいなくなったって、その仕事があんたなんかに回ってくることは絶対ないわ。
ああ、文句言いたい。
兄弟大事にしなさいって言いたい。
でもそんなことをしたら余計なことだっていろいろな人に怒られるだろうし、
方淵殿も絶対望んでいないだろうし、
口を出すのはやめておくわ。
「あのー・・・お妃様?」
「へ?」
顔をあげるとたまに話をする比較的仲のいい官吏の2人組だった。
「いつもより元気がないようですが?」
「あ、う、ううん。大丈夫よ。ありがとう。
あの、突然だけど、左遷されると、戻ってくることってあるの?」
質問された官吏はぽかんとしている。
それはそうよね。いきなり妃がそんなこと聞いたら変か・・・。
でも、戻ってくる可能性があるのだったら、まだ望みもあるってこと。
その日を楽しみにしてがんばることもできる。
「どうでしょうか。陛下の御意志にもよりますが・・・左遷となると戻ってくる可能性は低いと思います」
「そっか・・・」」
「優秀なら地方で経験を積んで3年以内に戻るやつもいるぞ」
「あ、確かに。じゃあどうなんだ・・・て、お妃様?どこへ行かれたんだ?」
優秀。
優秀という言葉なら当てはまる。
戻る条件が優しいとか、世渡り上手とかじゃなくてよかった。
3年という期限を思い出して、
私の頭にあるアイディアが浮かんだ。
そうだ、餞別はあれにしよう。





外の離れとつながる廊下に、方淵殿と水月さんの姿が見えた。
「少し長い旅になるね。準備はもう全部できたの?」
「ああ」
「君からもらった草案書見たけど頭痛がするよ。あんなに細かくするなんて」
「あれでも貴様用に書き直してある。必要がないと思うなら代案を出して勝手に改定しろ」
「それはもっと面倒だな」
込み入った話をしているみたいだから、正直割り込みはしたくなかったけれど、
今しか時間がないからお邪魔します。
明日にはもう、いないんだもんね。
「水月さん、方淵殿!」
声をかけると、二人ともこっちを向いた。
「あれはお妃様だね」
「あの走り方はなんとかならないのか。みっともない」
ぼそぼそとした会話が聞き取れなかったけど、
多分私の手にあるものを見て、何をしに来たかは予想できると思う。
お金もかかってないし、特別なものじゃないから受け取ってくれるかな。
陛下好き同盟の仲間として、温かく送り出すから泣くんじゃないわよ!
「あの、これ、もらってください」
方淵殿の手に無理やり握らせた。これで返品不可よ。
「なんだこれは」
「苗木ですね」
手の中のものを、2人で不思議そうに見ている。
確かにこれだけじゃ分からないかもしれないけれど、
私なりに考えた結果。
「この木、植えたら3年後ぐらいに花が咲くらしいんです。
だから、この花が咲くころには、ここに戻ってきて、また陛下にお仕えできるようにって・・・
いろいろ不安もあるかもしれないけど、私も、水月さんも、陛下だってきっと待っていますから、地方へ行ってもがんばって!」
うまい言葉は出てこない。
ずっと喧嘩ばかりしてきたし、会っても嫌なことしか言われないけど、
宴の準備をきっかけにどこか団結力が生まれたって信じているわ。
地方とか中央とか関係ないのよ。
みんなで陛下のためにがんばりましょう。
方淵殿は、嫌そうな顔をするでもなく、眉間に皺をよせるでもなく、
ぽかんと口を開けている。
その反応は予想外だった。
私、なにか変なこと言った?
「方淵、黙っていないでお妃様になにか言わないと」
「貴様、笑いをこらえるのをやめろ」
方淵殿が水月さんをにらむ。
少し小刻みに震えながら、水月さんはいつもの輝きオーラを出して、
私に教えてくれた。
「お妃様、方淵は2週間後にはここにいますよ」
「え?!」
バツの悪そうな顔をした方淵殿が付けたしする。
「私が地方へ行くのは洪水が多い地方の土木調査のためで、資料が集まったらすぐに戻ります。期限は2週間として頂いていますが、仕事がすめば1週間か、もっと早くに」
「そうなん、ですか」
「ええ。勝手に勘違いされて喜んでいたところ申し訳ないが・・・」
「よかった~」
全身から力が抜けた気がした。
不安だったのと、心配だったのと、焦っていたのと、いろいろな気持ちが混じっていたものが全部消える。
これからも、陛下の傍で、この2人は変わらないんだ。
「あ、そろそろ陛下が戻る時間だから行かないと。
方淵殿、道中お気をつけて!失礼します」
よかった。
目を合わせれば嫌味ばっかりの方淵殿も、
マイペースで困っちゃう水月さんも、
私も、
陛下のことが大好きで、これからも3人で変わらずお仕えしていきます。







「君がいなくなって、悲しんでくれる人もいるみたいだよ。よかったね」
「・・・フンッ」
「この木、お妃様置いていってしまわれたからもらっておきなよ。
庭に植えて、大きくなったら、私がその下で笛を吹いて、
お妃様の淹れてくださったお茶を飲みながら、3人で話ができると素敵だね」
「・・・そのことにはあの方も正妃だろう。陛下が許すわけがない」


――――――――

(11.01.2011)
この3人組が好きなので、また挑戦したいです

そして誤字脱字が多くてすみません。少し直したけどまだあるかもしれません。
確認してからアップするのに読み返すたびに新しい誤字脱字を発見するのはなぜだ。
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