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氾家ご令嬢と
登場人物 紅珠、方淵、ちょっと夕鈴
カップリング なし

・某所で紅珠と方淵が一緒にいるところを見て、かわいい組み合わせだわと思って・・・
・どこにも矢印は出していないつもり


続きからどうぞ!
―――――――――

見覚えのない場所へ来てしまった。
不安だが立ち止まっているわけにも行かず、足を一歩ずつ前に出す。
この細く暗い廊下から早く出たい。
明かりが見え、駆け足でその方向へと向かった。
「きゃっ」
光の中へ出た瞬間に、勢いよくなにかにぶつかってしまった。
転びそうになったところを、力強い腕に助けられる。
「なんだ?!貴女は・・・失礼した」
「ああ、ごめんあそばせ。お怪我はありませんこと?」
方淵は、王宮のど真ん中で出会うはずのない人物を一目見て、
嫌な予感に顔をゆがめた。面倒な人物に、面倒な場所で出くわした。
―――氾家の子女が、こんなところへ何の用、などとは聞かなくても分かるな。
「失礼致しました。突然のことながらお助けくださり、お礼を申し上げますわ」
やわらかな物腰と、透き通るような声、言葉遣いなども全て、紅珠の育ちのよさを思わせる。
「ここは貴女が来るような場所ではないが」
「そのようですわね。
私、道に迷ってしまって。いつもと同じ道を通ったと思ったのですが」
「では来た道を戻ればいいだろう」
方淵は、そっけなく答えて、紅珠を助けるために手を離して落としてしまった書類を拾った。
草案だからと咄嗟に人を優先させてしまったが、
氾家の人間ならそのまま転ばせておけばよかったか、と一瞬考える。
「それが、それも分からなくなってしまったのです。
お妃様、どちらにいらっしゃるのかしら。お庭はいらっしゃらなくて・・・」
「私は知らん。自分の兄に助けてもらえ。失礼する」
そう言って方淵は手元の書類を全て几帳面にまとめなおして、紅珠には背を向けた。
「あら、どうして私に兄がいるのをご存知ですの?」
質問を受け、方淵は足を止めた。
首だけ紅珠に向けて返事をする。
「氾家の人間くらい知っていて当然だ」
「まあ、それは光栄なことですわ。お兄様方はどちらにいらっしゃるのでしょう」
「あの引きこもりなら庭かどこかで昼寝しているだろう。会議にいなかった」
水月のことを思い出し、方淵の表情はますます不機嫌なものになる。
兄妹そろって人の神経を逆なでする存在だ。
「まあ水月兄様をご存知ですの?仲のよろしい方ですか?」
「そんなわけないだろう!」
「ひゃっ」
「私が仕事中に勝手に庭に出て持ち込んだ楽器を演奏する人間と仲が良さそうに見えるのか?」
方淵は怒鳴りたてると、紅珠は縮こまって震えてしまった。
方淵の近くにいる人間は、自分がどれほど怒っても言い返してきたり、嫌味を言ってきたり、苦笑いするような人間ばかりだから、
紅珠のように本当に怯えられると少し戸惑う。
優しい声をどう出すのか分からない。
少し速度を落とした話し方をすればいいだろうか。
「とにかく、お妃を探したいならここじゃなくて後宮に・・・」
―――いや、もしかしたらまた政務室か?
「ここで待っていろ。政務室を見てくる」
思い立って、政務室のほうへと向かう方向を変えた。
あの妃が、どこへいるのか分からない。
いつも後宮に引きこもっていればこんな面倒はないはずなのに!
「あの、」
「なんだ」
また引止められて、眉間に皺をよせつつも方淵は返事をした。
「1人で、ここにいるのは・・・」
イラッ、として方淵の空気が変わる。
紅珠はすぐにそれを察して申し訳なさそうな顔になるが、おずおずと言葉をつなげた。
「申し訳ありません。ですがこのような知らない男の方がたくさん通る場所に、
私1人でいるのは怖くて」
イライライラ・・・あの引きこもりと血がつながっているわけだ。
丸まって怯えている様子をかわいいだのかわいそうだのと思う神経を、
方淵は持ち合わせていない。
面倒だ。
こんな子どもをつれて王宮内は歩けないし、
後宮の中を自分が勝手にうろつくわけにもいかないし、
ここに放置して、柳家の自分のせいで氾家の人間になにかあったら面倒なことになる。
「少し待て、考える・・・」
方淵壁に寄りかかって悩む。
「お優しい方なのですね」
「無駄口を叩いてないで自分で解決策を考えろ」
「水月兄様はご迷惑はかけていませんか?」
「かけている。あのサボリ癖さえなんとかなれば・・・仕事の腕は悪くないが」
「まあ、ありがとうございます」
兄の仕事を評価され、紅珠の顔がぱっと明るくなった。
「褒めているのではない」
「方淵、様ですか?」
「は?なんだ急に」
突然自分の名前を聞かれ、意味が分からなかった。
そもそも名前なんてどうでもいいことだ。
氾家の令嬢が、官吏の名前を覚える必要などはない。
「水月兄様と、お妃様からも、お話をよくお聞きしますの。
お会いしたらすぐに分かると言われましたが、
お優しい方だとは聞いておりませんでしたから、すぐには気づけませんでした」
「私に諂っても意味はないぞ」
方淵の返事は、紅珠には心外だった。素直な気持ちを言ったのだ。
「まあ、そのようなつもりはございませんのよ。思ったことを、申し上げただけで・・・」
「紅珠?!と柳方淵!」
遠くのほうから、声がした。焦った顔をした夕鈴が走ってくる。
「あ、お妃様」
夕鈴は、紅珠の嬉しそうな顔を確認して、すぐに方淵との間に壁を作った。
「わ、わわわ大丈夫だった?!なにも言われてない?傷ついてない?気にしちゃだめよ」
「なにもありませんわ。とてもよく助けていただきました」
「そっか、よかった。お迎えできなくてごめんね」
いつもと同じほんわかとした返事に安心する。
「いえ、こうしてお会いする機会をいただけるだけでいつも胸がいっぱいですわ」
紅珠の花のような笑顔に癒され、思わず夕鈴も笑顔だ。
疑ってしまって申し訳ない気持ちもこめて、夕鈴は恐る恐る後ろを向いた。
「方淵殿、ありがとうございます」
短い礼に、形式ばった礼が帰ってきた。
「私は何もしていません。失礼」
方淵は手に溢れる書類を抱え、早足で廊下を去っていく。
―――兄弟か。
自分の兄弟の顔がぼんやりと浮かび、しらけた気分になった。



―――――――――

(11.01.2011)

「・・・朝起きたくないんです」
「ふふっ困った兄様ですわ!」
が、狼陛下の中で1,2を争うほど好きなシーンです(本当
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こんばんは(^^)
おじゃまいたします。
さかなやさんの描く紅珠様がステキ過ぎてこちらにコメントさせて頂きました♪
紅珠様と夕鈴の方淵への評価が素直すぎて笑ってしまいました!
方淵と紅珠様の組み合わせ、実は結構好きでして///
ごちそうさまでした。ぺこり
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secret


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