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戻らない
登場人物 方淵 夕鈴、(おまけに水月
カップリング 方淵x夕鈴 注意!

・みたいじゃなくて、本当に方淵→夕鈴


続きからどうぞ!
―――――――



柳方淵は、自分の変化に戸惑っていた。
原因はただひとつで、あの『お妃』に関することだ。

憧れる珀黎翔王の唯一の妃というので関心を寄せてみれば、
認めることなど死んでもしたくないような女人で、気品がなく、家柄も不明で、
言葉遣いもたまに町人のようであるような奇妙なもの。
妃が髪を逆立てて官吏に怒鳴るなど前代未聞だ。
外見も特筆すべきようなところがない。
さらに政に口をだし、陛下を仕事から遠ざけ・・・
嫌いだ。
なにもかもが気に入らない。
一言一言が気に入らない。歩き方が神経に障る。笑顔を見ると虫唾が走る。
政務室に出入りするようになったときは、本当に暗殺でもしてやろうかと思った。
人を疑わず、王宮の事情を何も知らない愚鈍な妃め。


方淵は、政務室で黎翔の隣に立つ妃に目をやった。
普段は少し離れた場所にいるが、今は黎翔に呼ばれて二人で顔を近づけ小さな声で話をしている。
方淵には聞こえない。
その眉間に皺がよる。
気に入らない。
そうだ、気に入らない。はじめからなにもかも気に入らない。
しかし今はその理由が違う。
方淵の顔が険しいのは、身の程知らずの愚妃が政務室にいるからではなく、
その夫の顔が妃の耳もとにあり、2人でだれにも聞こえない会話をしているからだ。
そしてその妃の頬が、赤く染まっていることが彼の神経をますます逆なでする。
「フンッ」
ここを離れよう。せめてあの2人の姿が見えない部屋へ。

その変化がいつからだったかは気づけなかった。
姿を見れば追っていたのははじめから。理由が変わったのはいつからだ?
裾の長い着物を引きずる姿が心配になったのは?
転ぶ手前に気づいて腕を差し出すようになったのは?
書庫を整理する後姿を見たくて遠回りするようになったのは、
陛下の前で見せるその笑顔が、自分に向いていたらと思うようになったのは、
口げんかでさえ、自分にだけ向いている注意にどこか喜ぶようになったのは?
それは、いつから?
分からなかった。
方淵の人生に彼女が入ってきた瞬間から、どこか関心を向けずに入られなかった。
理由の方向が変わっただけで、目を向けてしまうことには変わらない。
だからいつからなんて分からない。
分かったところで、そのときに戻って自分の目を覚まさせることもできないのだ。
この想いを自覚してしまったらもう逃げることはできない。
方淵は、自分の頭の中が1人の女に支配されることに戸惑いと恐れを感じていた。
そんな経験はしたこともなく、制御の仕方も分からない。
気づけばあの妃のことを考えているなんて、自分がとち狂ったとしか思えない。
はじめ、夕鈴を見て心音が速くなったり、めまいがしそうになったとき、
伝染病にでもかかったのかと思った。
しかし医者にいっても健康だ、少し疲労がたまっているのかもしれない程度のことしか言われなかった。
だから貴重な休日を一日使って考えたのだ。
あの妃のことを。

「あああああ」
方淵はその日のことを思い出して、一番近くにあった柱に両手をつくと頭突きした。
いろいろ試した結果、これが頭から邪念を追い出すのに最適だと発見した。
最初の一週間はとにかく否定を続け、次は忘れることにし、最後は違うだれかと、
だれでもいいからもう少し問題の少ない人物に置き換えようとしてみたが、
だめだ。
目を閉じて思い浮かべてしまうのはあの横顔だ。
他の誰の声より、彼女の声をよく拾ってしまう。
視線が追ってしまう。
触れたい、と思ってしまう。
病気としか思えない自分の症状にとにかく耐えられないのは方淵自身で、
いっそあの顔を二度と見なくていいように離職しようとも思ったくらいだ。
しかしそれもしたくない。
陛下の傍の仕えていたい。
しかし夕鈴が黎翔と一緒にいるのは見たくない。
つまり、政務室に来る夕鈴が悪い。
そういう結論に到って、最近の方淵は夕鈴にますます憎しみこもった視線を送っている。
「・・・・・・」
自分の足元に目をやる。
こんなにしっかりと地面に足をついているのに、
なぜあの女が傍にいるだけでめまいがするのだ。
「方淵どの?」
声がした。
だれだなどとは考えなくても分かる。
「・・・お妃様、こんなところへ何用ですか」
ゆっくりと顔をあげると、方淵の予想した、しかしそうでなければいいと願った人物がそこにいた。
そこは王宮でも人通りの少ない区域にある、ほとんど使われない書庫だ。
もう廃止になった行事の記録文書や、閲覧数の少ない他の書簡が保管されている。
かび臭く、空気の流れも悪い。
「書物を見つけたのですが、保管場所がここだと聞いたので」
「こんなところに置くようなものは、ほとんど必要がないものだ。
捨ててしまってかまわないでしょう」
実際そうなのだ。ここのものは、火災で灰になっても嘆く必要のないようなごみだらけ。
保管してる理由は、頭の固い老人どもの固執からだ。
「ですが・・・」
「いいから早急に後宮に戻っていただきたい。こんなところに妃が来るものではない」
うなるように言い切ると、方淵は書庫を後にしようとした。
「あ、方淵殿」
「何です」
夕鈴は適当な棚に書物を置いた。
「さっき陛下になにかお伝えすることがあったのではないですか?
今なら陛下は自室にお1人で・・・」

他の男のことを口にするな。

自分が本当にこんなことを思うとは、やはりこれは病気だ。
他には何も考えられなかった。
ただ、その瞳に自分だけを映したい。
方淵は夕鈴を書棚に押し付けていた。
方淵と夕鈴の距離を保っているのは、彼の右腕だけだ。
これを少し曲げれば、その距離もなくなる。
「方淵殿?」
「・・・」
「えーと、もしかして具合が悪い・・・のでしょうか」
「ああ」
「え?!本当に?いま医者を呼んで・・・」
その行く手を方淵は左腕で防いだ。
「いい」
夕鈴は方淵の両腕に挟まれていて、2人の距離はかなり近いのだが、
夕鈴にはそんなことはどうでもいいようだった。
目の前に具合の悪い人がいれば心配する。それが彼女だ。
「意地はってないで、病気なら医者に行くんですよ!歩けます?」
夕鈴が方淵の顔に手を伸ばした。
その手が、ここにある。
ずっと触れたいと願って、その願いさえ自分で認められなかったのに。
方淵は夕鈴の手をとった。そしてその手のひらに口付けた。
「え?!」
茶色い瞳が夕鈴を捉える。
見たことのない、まっすぐな瞳だ。
「ほ、ほうえ・・・?」
「貴方が私を引きとめた」
「そ、それ、そんな、こと、言われても・・・」
夕鈴にはわけが分からなくて、怖くて泣きそうになる。
顔を合わせれば怒鳴りあっていたのに、急に手にキスをされて、
見たこともない顔で自分を見ている。
この人は、だれだ。
「想いを寄せる人がこれだけそばにいたら、手を伸ばすのが普通だ!」
「想い・・・?普通って、な、なに言って、るんですか。なんの話よっ!」
方淵に怒鳴られて、思わず夕鈴も怒鳴り返した。
逃げようとするのに、方淵の手の力が強すぎて振りほどくことができない。
夕鈴には、方淵の言葉の意味がもう理解できない。
単語単語が1つも入ってこない。
今この人は何と言ったのか。
分からない。
分かりたくない。
「私が好きで手を取ったとお思いか?体が勝手に動いたんだ!」
方淵も、自分の口から出てくる言葉に驚いていた。
何を言っているんだ。
でももう、戻れない。
ずっとずっと抑えてきた言葉は、もうここ以外に行き場所がない。
これ以上は、留めて置けないのだ。
これだけ近くにいるのに、どうして抑えなければいけないんだ。
「お妃様、」
「待って」
夕鈴が口を挟んだ。
これだけは譲れない。その先は聞けない。
「私は、答えられないのよ・・・?」
震える声でつむぎだす言葉は、無視された。
関係ないとでも言わんばかりに、夕鈴を離さない方淵の手に力がこもる。
「貴女が、好きだ」
やめて。
「そんな、顔しないで・・・」
そんな焦がれるような視線を、私に向けないで。






―――――――――

方淵が自分から認めるわけがない。だれか指摘してくれる人が必要だ。
というわけでおまけです。



白陽国、王宮内のどこかの庭。足音が響く。

「おい」
「・・・・・・」
「貴様、返事くらいしたらどうだ」
「・・・なんだ、君か。せっかく風の音を楽しんでいたのに、邪魔するなんて趣がないね」
「謝罪か感謝の言葉を言え。
会議の時間になっても外で涼んでいる貴様の口から聞いてもいいのはその2つくらいだ」
「あれ、私が行く必要あるのかな。まあ今日は気分がいいから行ってもいいけど」
「会議に行くか行かないかを決めるのは貴様ではない!」
「はいはい。で?君がわざわざ私を迎えに来るなんておかしいね。
何か話でもあるんじゃないかな」
「・・・・・・」
「君さ、その分かりやすい態度で、分からないと思ったの?」
「なんの話だ」
「それで、言うか言わないかっていう悩み?」
「だからなんの話――」
「お妃様に、お慕いしていますって」
「な、に、を・・・」
(本当に分かりやすいな)


―――――――

(10.31.2011)

いつもお邪魔している方淵x夕鈴中心サイト様のssを読んでいたら
陛下以外の人とからませたくなってしまって。

Mr.ダー●ーとエリ●ベス好きとしてはケンカップルおいしいです。
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