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おもしろくない
登場人物 陛下 夕鈴
カップリング 陛下x夕鈴

・25話後
・陛下が1人で悩んでいるだけで暗め?

続きからどうぞ!
氾家滞在から夕鈴は少し様子がおかしい。
なにかと特訓だと言っては、彼女らしくないことを言う。
僕の傍にきて、あまりに君が近くにくるから僕は手を伸ばしそうになるのだけど、
そんなことを考えていたらすぐに顔を背けてしまう。
1人うつむいて、暗い顔をして考え事をする。
おもしろくない。

「・・・」
「・・・」

夕鈴と僕はいつもの長椅子に座っている。今日は少しいつもより2人の距離が近い。
夕鈴はお茶を用意するとだいたいその日のできごとを話してくれて、
笑ったり怒ったり悩んだりする。僕はそれを隣で見ているのが好きだ。
彼女の表情がころころ変わって、僕にとっては毎日同じ色で覆われてみえる王宮が、
夕鈴にとっては日替わりで新しい顔を見せるかのように思えてくる。
夕鈴の目には世界がどう見えているんだろう。
僕はそれを見ることはできないけれど、彼女の表情や、声やしぐさや言葉から、
少し想像することくらいはできる。
けれど今日は静かだ。夕鈴は厳しい顔をしている。
時々僕のことをちらっと見て、また考え事をして。

おもしろくない。

僕は君の声を聞きたいし、考え事があるなら一緒に考えたらいいのにと思う。
まるで隣にだれもいないかのように、なにに頭を悩ませているのだか。
しゃべりたくないなら黙って隣にいるだけでもいい。
2人でなにもしないで休んでいるだけでもいい。
だけど、君が1人で悩み事をしていて、それを隣にいる僕に分けてもくれないなんて、
それは意地悪すぎると思うんだ。

「夕鈴」
僕はそれ以上待っていることができなくて、夕鈴の顔を無理やりこちらに向けた。
「わ、陛下」
「なにがそんなに、君の心をとらえているんだ?」

夫婦の演技なんてなくたって、夕鈴はただ隣にいればいいのに。
僕が君を必要としているんだから、それだけで十分だ。
僕は君の暖かい手がいつも恋しくて、明るい声をいつも聞きたい。
君がここにいて、僕を見ていてくれるなら、きれいな言葉なんていらない。

僕がそのままでいって言っているのに、夕鈴は意固地になって特訓をしようとする。
それはだれのためなのか、聞きただしてみたいものだ。
演技をしている夕鈴の隣で、僕も演じている。
『狼陛下』が演技で、そうじゃないのが本当の僕だって、
彼女の信じる『僕』でいる。
こうやって練習して、僕たちはもっと偽者になっていくんだろうか。
僕は夕鈴に怖がられるのが怖くて、彼女の本当の気持ちも確かめられないでいる。
僕がふとなにもかも忘れて、演技なんて単語を心のはしにも留めず彼女に触れた瞬間に、
後ずさるその足に現実に引き戻されるんだ。
そんな小さな拒絶さえ怖い。笑ってしまうくらいそれが怖くて、どうしようもない。

「陛下・・・、っ・・・私は・・・」
夕鈴の顔が真っ赤になる。
こういうときはすぐに逃げてしまう夕鈴だけど、我慢しているようだった。
「答えは?」
「・・・私、陛下・・・」
夕鈴の目に涙が浮かんでくる。
僕がこの顔に弱いのを知っているのか?
ほとんど無意識に手を離しそうになってしまったけれど、
その代わりにもう泣いた顔が見えないよう夕鈴の手を引いて抱きしめた。
「わあ!ちょ、ちょっと、あの・・・放し・・・やりすぎですよ!陛下っ!」

君が意地悪だから、僕も仕返しをしよう。

僕たちは今日一日演技の練習をしたんだから、
最後くらい演技なしの僕を見てくれないと割に合わない。

思い切り力を入れたら、きっと痛いんだろうけど、
僕はそのくらい強く君を放したくないと思っているよ。


――――――――

(20.10.2011)

24話の

「だから気にせず狼陛下の演技してて下さいっ」
「君がそれでここにいてくれるなら」

に対して。


いつか書き直したいです。
夜に書いたせいか読み返すといろいろおかしいからちょっと直し(10.21)
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