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KISS!
登場人物 方淵、紅珠
カップリング 方淵x紅珠

・57話読んでたらぱっと思いついて

その日、
狼陛下の正妃の最有力候補といわれていた氾家の令嬢は、
国王とその隣に座る妃をうっとりと見つめていた。
正妃の生誕祭を祝う宴は、
想像されるよりずっとひっそりしている。
恐らくは妃本人の希望であろう。
ずっと狼陛下の唯一の妃であった素性の分からない1人の女が、
今日この国の正妃となった。
彼女は王宮でも馴染みとなっていたので、
それほど混乱もない。
もちろん反対する者はいたし、
これからもその数が減るわけではないだろうが、
紅珠からしたらそんなことはどうでもいいのだ。
二人はとても幸せそうなのだから。
それはお二人が愛の力で乗り越えるのですわ…

話しかけようと思えば話しかけられるが、
近すぎない距離に座っていた柳方淵は、
彼女の表情を見てだいたい何を考えているか推測せずとも分かっていた。
なにをきっかけにしたかははっきり覚えていないが、
何度か手紙をやりとりして、
紅珠と方淵は、友人というのか何というのか、
奇妙な関係になっていた。
正妃の候補であった彼女が、
自分以外の女性が正妃になったことでショックを受けるだろうとは、
はじめから微塵も思っていない。
それより彼の関心は、
狼陛下の正妃という位が埋まってしまった今、
紅珠の未来がこの先どうなるかということだ。
彼女の父親のことだから準備は進めているだろう。

ふいに、紅珠がこちらを向いた。
「なんですの?」
きょとん、と首をかしげる紅珠は可愛らしい。
陛下の妃の候補だからこれまで誰も手を出してこなかっただけで、
紅珠を気にかけている男はごまんといる。
それを本人は気付いているのかいないのか、方淵は分からなかった。
「いや」
紅珠は少しだけ方淵のほうに体を向けた。
大勢いる知り合いの中で、
自分のほうを向いてくれたのは嬉しかったが自惚れてはならない。

陛下の妃がこの国で一番良いに決まっているから、
方淵は今日このときまでなにかをしようと考えたことはなかった。
紅珠のことを好きだと自覚があったものの、
陛下の妃より柳家の次男の嫁を選んで貰える理由がひとつも見つからなかった。
しかしその他有象無象の貴族の中では、
自分はまあまあ悪くはない程度に知り合いだ。
少なくとも、嫌われてはいない。
そして、自分の地位と権力と財力と能力を駆使して、
彼女の父親を超えられるように努力している最中だ。
進み具合は悪くない。

もう少し会話が続くように、
なにか気の利いたことを言えばよかったと少し後悔したが、
紅珠は話したいときはこちらが何も言わなくても話すし、
他に興味があればこちらが何を言おうとも上の空だから別にいいだろう。
「慰めてくださるの?」
「え?」
「陛下の妃の第一候補といわれていたのに、
失敗しましたもの」
先ほどまで嬉しそうに祝福していた彼女に言われても、
なんと答えていいのやら。
意図がつかめなかった。
方淵も嫌味やなにやらの応戦は日常茶飯事だが、
紅珠の発言の裏を読むのはいつも一苦労だ。
仕方ない。
真正面から返そうと口を開く。
「方淵様」
紅珠のほうが先に口を開いて、方淵の発言を遮った。
「他の嫁ぎ先を紹介するなんていったら、
殴りますわよ。
あいにく不自由しておりませんの」
方淵は言葉を発そうとして開いた口を、
そのまま閉じることができなかった。
なぜ分かったのだろうか。
図星だと表情でバレたのか、
紅珠は苦笑いした。
「すまない。
…不快にさせるつもりはなかったのだが、
柳家に来ないかと、聞いておきたかった」
方淵は紅珠の手を取った。
「貴女は引く手数多と承知している。
同じような話も聞き飽きただろう。
柳家の次男の嫁など、
陛下の正妃とは比べ物にならないほど地位も名誉もない。
しかし、
貴女が望むなら歴史に名前を残させよう。
不自由はさせないし、
貴女のうちよりずっと豊かな生活を用意する。
だから、」
「そんなの全部どうでもいいですわ」
紅珠の大きな瞳が方淵のを見ている。
今すぐに殴られる様子はなかったので、
もう最期まで言ってしまおうと思った。
「殴る前に最後まで言わせてくれ。
私の妻になってほしい。
貴女が好きだ」
紅珠が立ち上がったので、
これは平手打ちか、
と最後にその表情をしっかり目に焼き付けておこうとしたものだから、
方淵は強張った表情で口付けを受けることになってしまった。
自分の首に回された手がきゅっとしまって、
息がつまったときにようやく状況が理解でき、
人目も憚らずに強く抱きしめた。
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狛キチ さんへ
こんにちは~
方淵と紅珠ってお互いお家の一番上じゃないので、
その点お兄さん達よりも、自分の意思で行動してそうなイメージです。
だからちょっときっかけさえあれば…!

パパズはどうするんでしょうね!
正直全員想像できないんですが、
お互いに相手の動きを警戒しつつすぐには行動しなさそうな…
ふたりがくっついてくれたら、陛下と夕鈴にとっては心強い味方となりそうですねv
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secret


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