スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
タイトル未定3【すみません54話ネタバレ】
登場人物 陛下、夕鈴、克右、
カップリング 陛下x夕鈴、 克右x夕鈴描写あり

・3です!1,2味読の方は先にそちらからどうぞ。
・特に話は進んでないです
この話ギャクにするつもりだったのに陛下がうじうじしてるせいでシリアス気味になってしまった!
54話のネタバレになっとります。
びっみょーに55話ネタと取れなくもない場面もあります。



愛してるよ、
と言ったことは一度もない。


黎翔は最後の書簡を最後まで読み終えて、
机の上に投げた。
そろそろ就寝しなくては明日に響くが、
眠ればまた悪夢を見ると思うと進んで寝台に入る気になれなかった。
水月、方淵、浩大ときて、
次の夕鈴の相手は誰だろう。
最初の夢はぼんやりとした不快感しか残っていないが、
重なるごとに鮮明になってくる。
最後の浩大が出てきた夢は、
ほとんど現実と区別がつかないくらい鮮やかに思い出せる。
夕鈴に愛していると伝えた浩大の顔は、
現実では一度も見たことのない表情だった。
しかし違和感はなかった。
黎翔は愛していると言ったことはない。
夕鈴のことをとても可愛いと思うし、
おもしろくて、
見ていて飽きなくて、
傍にいると温かい気持ちをくれる。
それは『愛している』と同じことなのか、
よく分からなかった。
それはこんな風に、
あれこれと考えながら口にする言葉ではないのだ。
どこかから湧き上がってくる言葉なのだと、
昔読んだ気がする。
きっと本当に愛していたら、
呼吸のように自然と出るものなのだろう。





ちかちかと目の前が眩しく感じて、
黎翔は目を覚ました。
外だ。
眩しいと思った光は葉の間から差してくる太陽光だった。
すぐ傍には長剣が置かれている。
いつもより動きやすい格好に、
投げ捨てられるように膝あてなども転がっている。
ああそうだ。
先ほどまで克右と遊んでいて、
帰りにちょうどいい場所を見つけて昼寝しようとしたのだった。
どれくらい寝ていたかは分からないが、
そろそろ李順が探しにくるのではないかと思って立ち上がった。
道具だけ片付けてこよう。
のろのろと立ち上がって倉庫のほうに向かう途中で、
茂みの後ろに人がいるのが見えた。
克右と、夕鈴だ。
「いてて」
「もう、動かないでくださいよ」
克右の左頬に浅いが大きな傷がある。
それを夕鈴が治療しているようだった。
そうだ。
あれは自分がつけた傷だ、と黎翔が思い出した。
何故忘れていたのかが不思議だ。
克右と夕鈴の距離はとても近い。
治療のためとしても不自然なほどだ。
「そんなこと言われても、
結構痛い」
「避けれなかった自分の技術をうらんでください」
「手厳しいなあ。
あの方の一太刀は重くて、受けるのがやっとなんだぞ」
「陛下がすごいのは知ってますよ。
言い訳です」
「…どうした?」
夕鈴の手が止まった。
顔は下を向いたままだ。
「夕鈴、機嫌悪いのか」
克右が夕鈴の手を握る。
それがあまりに自然で、
黎翔はその場でその様子をじっと見てしまう。
いったいなんのつもりだ、と顔の傷を増やしたって良い立場なのに、
そうする気になれないのだ。
邪魔をしてはいけないと思ってしまうほどに、
2人はお互いのことしか目に入っていない。
「最近、
陛下とばかり一緒にいるから」
夕鈴は、しぶしぶという感じで口を開いた。
「私のことも構って下さいよ」
言ってしまってから恥ずかしくなったのか、
夕鈴は克右と目を合わせたまま赤くなった。
しかし目は逸らさない。
「…そうか。すまんかったな」
克右がゆっくりと夕鈴の手を引く。
夕鈴はそれに逆らわずに前に倒れて、されるがままに抱きしめられた。
「不安にさせたなら悪かった。
俺が愛してるのはお前だけだよ。
もう少し時間をつくってやればよかったな」
「いいんです。
分かってるから。
私も克右さんのこと大好きですし、惚れた弱みです」







目を開けたとき、あたりは真っ暗だった。
「…君が好きなのは私じゃないのか」
夢の中の夕鈴に文句を言う。
好きだって言ったじゃないか。
まあ気を使ってだったのかもしれないが。
たとえ夕鈴にとってはたいした意味がなかったとしても、
好きという言葉のくすぐったさは嫌いではなかった。
ずっと怖がられていて、嫌われていると思っていたが、
そうではないと言葉で言ってもらえたときの驚きと安心感。
まだ少し怯えるようにしていても、
探りながらでも距離を縮めてくれたときのくすぐったい気持ちと同じだ。
夕鈴が精一杯くれる優しさが、
時々悲しくて、しかし嫌ではない。
それが仕事だからと夕鈴は何度も言うけれど、
真っ直ぐな性格を知っているから、
嘘ではないと分かるのだ。
狼陛下の演技だと言い訳をすればなんだってできる気がしていたが、
正体の分からない夕鈴への気持ちに答えを返せない。
はっきり決めてしまったら、
そしてそれを口にしてしまったら、
きちんと終わりを決めなくてはならなくなる。
目を閉じても何も解決するわけもなく、
早く意識がなくなって欲しいという気持ちと、
また夢を見るのが怖いという気持ち半々で、
黎翔は静かに睡魔を待った。
その日はもう夢は見なかった。








「克右、ちょっと付き合え」
仕事中だった克右を半ば無理やり王宮に連れ戻して、
黎翔はその足元に棒を投げた。
真剣を使うと夢のように怪我をさせてしまいそうだと思い、
軽くて当たっても軽症ですむものを選んだ。
「また突然ですね」
「体を動かしたくなった。
すぐいなくなるのだから、
いるときくらい相手をしろ」
「仰せのままに」
克右は苦笑いしたが、
手合わせするのを楽しんでいるのは黎翔だけではない。
返事をするとすぐに顔つきが変わった。

カッカッと軽快な音があたりに響く。
遠慮しなくていい相手だと余計なことを考えずにすむ。
「陛下、何か気にかかることでもあるんですか」
「なぜそう思う」
足元に飛んできたものを避けて、
黎翔は軽く跳ねた。
「なんとなくですが…
余計な詮索ですか」
自分から一言はさんで壁を作るのは克右の癖みたいなものなのだろうか。
こちらから釘を刺さなくても余計なことはしてこない。
「気になるか」
「まあ、
気にならないといえば嘘になりますかね」
この遠まわしな話し方は黎翔にしては珍しい、と
いよいよ本当になにかあったのではないかと克右は考え込んだ。
この人が悩むと言ったらあの娘さんのことなのだろうか。
国のことなら必要な情報さえあればさっさと片付けてしまうだろう。
「嫌な夢を見た」
「夢…?」
「そうだ」
一瞬克右の気がそれた隙に、
黎翔は手のひらの棒をぐるりと一回点させて、左目を目掛けて突いた。
もちろん避けてくれると信じている。
克右は体を少し傾けるようにして避けたのだが、
頬をかすった。
「っ…!」
「あ」
勝負が決まったところでちょうど黎翔の視界に夕鈴の姿が入った。
話しかけようかどうしようかと迷うようにうろうろしていたが、
黎翔も克右もそれ以上動かないのを見て慎重に近づいてきた。
「すみません、
邪魔しちゃいましたか」
「まさか。どうしたの、夕鈴」
「休憩中に食べてもらおうかとお菓子を持ってきました」
「ありがとう」
受け取ると、まだ少し温かい。
焼きたてて運んできてくれたのだろうか。
「あれ?
克右さんちょっと血が出てますよ」
「え?
あ…お心遣いありがとうございます。
浅いですから大丈夫です」
克右は夕鈴が妃と知ってから距離を測りかねているようで、
少し目線を泳がせて答えた。
「拭きましょうか。
洗ったばかりできれいですから」
「え?いえ、そんな恐れ多い…」
黎翔のほうにちら、と視線を向けて、
克右は丁重にお断りしようと思ったのだが、
それよりも夕鈴が速かった。
白い布を取り出して、克右の頬をぬぐった。
赤い染みができる。
「後で消毒しないとですね。
気をつけてくださいね」
「…痛み入ります」
克右が恐る恐るといった表情で黎翔のほうを伺った。
ほとんど無表情なところが逆に恐ろしい。
「俺はこの辺りで失礼致します」
逃げるが勝ちだ。
今日の黎翔はいつも以上に感情が読めないし、
これ以上この場にいては、
とても親切なお妃様のご好意で命を落とすかもしれない。
克右が去ると、
黎翔と夕鈴はその場に2人きりになった。
「夕鈴、これ夕鈴が作ったの?」
「はい。お口に合いますか」
「うん、おいしいよ」
「よかった」
体を動かしていたのを知っていたのか、
いつもより少し塩が効いている。
「あ、陛下」
「ん?」
夕鈴が黎翔の頬に手を伸ばした。
「ついてます」
くす、と夕鈴が笑う。
指で餡子を拾ってくれたようだった。
「…ありがとう」
優しい笑い方はとても好きだけれど、
やっぱり違う。
愛してると当たり前に言える恋人の前では、
もっと違う表情になる。
夢だから黎翔の想像でしかないが、
夢の中の夕鈴の表情をもっと近くで見てみたかった。
好きだと言ったら、
どんな顔で答えてくれるだろうか。
「夕鈴」
「なんですか」
「…お腹すいちゃった。
まだある?」
「陛下!ごはん食べれなくなっちゃいますよ!」
どんな答えをくれるか想像できないし、
どんな答えも欲しくなかった。
困ったように微笑まれたら傷つくし、
頬を染められてもその先を与えてあげられない。
一緒にいる約束をできないのだから、
言うべきではないのだ。
夕鈴だってそう望んでいる、と黎翔は思う。
今の距離が心地良いのは自分だけではきっとない。
時に近づいて、
たまには離れて、
そうしてできた空間をお互いに望んでいるのだ。
だから時々それを壊したくなるのは間違っている。
今も、もどかしい距離をゼロにして、
夕鈴を抱きしめたくなって、
そんなの誰も望んでいない。
「…陛下?」
「あ、えーと、戻る?」
「そうですね。ちょっと寒いですし…」
「じゃあ手つないで戻ろうか!」
「え?!
…わかりました。寒いからですよね。どうぞ!」
ずい、と夕鈴は手を出した。
大人しく手を出されてしまうと、
それはそれでどうしたらいいか迷う。
真っ赤になって怒ってくれたらいいのに、夕鈴はそうしない。
そしたらまたおもしろいねって笑うことができた。
黎翔は黙って夕鈴の手をとった。
細い指はくすぐったくて、温かく、
放したくなくて少し強く握った。
スポンサーサイト
 
なんか・・・
おはようございます。
仕事中!!拝見してます(^^♪

うーん 切ないですよね。
でもなんとなく陛下の中ではそうなのではないかと思ってしまいます。

本編でも夕鈴は恋してますが、陛下は恋なのか何なのか。
老子の言う「心の安らぎ」を求めているだけとも思えます。
一応コミックス派なので。
色々複雑でしょうね(^◇^)
悩め!青少年!! 「若いっていいわね」
今日はこちらからw
ここ数日、何度もご自宅ウロウロしてる不審者は私です^ ^
陛下、自分と夕鈴の夢じゃないところが「らしく」て切ない…息をするように夕鈴に「愛してるよ」って言ってる陛下を、夢でもいいからみたい!私が!
作中、夕鈴への自分の気持ちをはかりかねている陛下の独白がとても切なくて、そんな好きなものを素直に好きと言えない若い王様の孤独に何とも言えない気持ちになります。
最近の陛下の言動を見る限り、彼にとっても夕鈴は初恋なんだなぁって思うんですよ!間違いなく女ったらしだとは思いますがw、自分が何をやっているのか分からずに「どうにかしてるゼ」とセルフツッコミを入れちゃうあたり微笑ましく思うと共に、一人で悶えております。

しかしどのお相手でも夕鈴の可愛さは抜群の安定力ですね!守備範囲広いwどうかその驚異のオールラウンドプライヤーっぷりで自分の幸せに臆病なエースを幸せにしてあげてくださいお願いします←◯ッチの南ちゃんかw

あと残すは几鍔と李順さんですか…なんか、対抗の大本命と大穴って感じですね。楽しみです。って、その時まだ日本にいて読めるだろうか、私…
お仕事お忙しいことと思いますが、寒さ厳しい折ですのでご自愛くださいませ。
ではでは。


ちぃ
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
らっこさんへ
らっこさんこんにちは!
いつもありがとうございます。

陛下の気持ちは陛下にも分からないのかもしれませんが、
ちょっとずつ答えを探していける続きになる…予定です!
あまりお待たせしないようにがんばります^^
コメントの投稿
secret


トラックバック URL
http://osakanaya3.blog.fc2.com/tb.php/121-6740d1b3

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。