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タイトル未定2
登場人物 陛下、夕鈴、浩大
カップリング 陛下x夕鈴メインですが浩大x夕鈴描写あり


・1のつづきです。
・1を読まないと意味不明です




今日は朝から机仕事ばかりだった。
起床して、軽く腹に食べ物を入れ、
その後はただの一度も席を立つことなく書類に署名し続けた。
後半になってくるとだんだん目が霞みはじめ、
自分が何の話をしているかさえも分からなくなってくる。
1つ山を片付けて、
そうしたらまた李順が真新しい2倍ほどの量の書簡を用意してくるものだから、
流石に休憩させろと言って黎翔は立ち上がった。
急に体を動かしたせいで、血液が頭にまわりすぎたのか眩暈がした。
「水を飲んでくる」
手を動かしながら次々飛んでくる報告に返事をして喋り続けていたせいで、
ノドがすっかり乾燥していた。
ほとんど張り付いているような感覚はとても不愉快だった。
そうだ、後宮へ行こうと黎翔が途中で道筋を変える。
どうせ水を飲むなら心も癒されたい。
なぜ今日は夕鈴は政務室にいないのだろうか。
どこか夢中になって掃除しているのか。
しかしそうではないようだった。
後宮に近づくにすれて話し声がする。
よく知っている夕鈴の声だった。
もう少し近づいて耳を澄ませると、
話し相手は浩大のようだった。
会話はすでに終わりかけている。
浩大はこれからしばらく地方の偵察だ。
とはいっても一月もかからない程度のものだが。
「じゃあな夕鈴。
しばらく会えなくて寂しいかもしんないけど、
良い子で待ってろよ」
「なによ!
子ども扱いして」
ピタ、と黎翔の足が止まる。
なんだこの会話。
いつから2人はこんな親しげに話すようになった。
しかも浩大が夕鈴の名前を呼び捨てにしているのが気に入らない。
「おい、浩…」
部屋に踏み入れた瞬間、
目に飛び込んできた光景はすぐには信じられなかった。
窓枠かなにかに足をかけた浩大は宙ぶらりんの状態で、
軽く上体に力を入れると夕鈴の頬に手を触れそのまま口付けした。
「愛してるよ」
とたんに夕鈴は全身真っ赤になった。
「ば、ばか…!」
「ありゃ?陛下!いたんスか」
浩大がとぼけた様子で言う。
夕鈴の赤かった顔からサッと血の気が引いた。
そしてまたすぐに真っ赤になる。
「ちょ、み、見られ…」
「いいんだよ、わざとだから」
「恥ずかしいじゃない!」
「まーまー落ち着いて。
陛下、オレの留守中に夕鈴に変な気起こさないでくださいね~」
「な…」
黎翔は突っ立っていることしかできなかった。
腰に刺した剣も抜けなかったし、
抗議することもできなかった。
それだけ浩大はさも当然のように、
最後にくしゃっと夕鈴の頭を撫でて消えた。
夕鈴の名残惜しそうな横顔は、
明らかに愛するものを見送る顔だ。
そして、帰ってくると信じている。
「夕鈴」
「陛下、どうされたんですか」
「いや…
あいつの、今回の仕事は危険じゃないから、
すぐ戻ってくる」
本当は浩大が何をしに行くのかは知らない。
しかし、黎翔の口からは自然とその言葉が出ていた。
安心しきった夕鈴の笑顔を見て、
鈍く深い痛みを感じた。
この顔が見たかったけれど、
それが他の男のためならば、一生笑わなくていい。







暗闇の中で目を覚ました。
全身冷たい汗で濡れている。
鼓動はとてもうるさく、心臓に手を当てると跳ねているのが分かる。
「はーっ」
深く息を吐いて、ゆっくり起き上がった。
物騒な夢だ。
そんなこと思うわけない。
夕鈴の不幸を望むようなことはしない。
たとえ隣にいるのが他の男でも、
笑っているならそれでいいじゃないか。
「……」
黎翔はもう一度深呼吸した。
一度起こした体をそのまま後ろに倒した。
ぼす、と鈍い音がして寝台が沈む。
「…ごめん」
本人はいないが謝罪する。
自分が現実でも夢と同じ思考にならないと、
断言ができない気がする。
実際目の前であの光景をみたら、
おめでとうなんて言えるだろうか。
言えない。
いや、言えないと彼女が悲しむからきっと言う。
むしろその前に、
言わなくてはいけなくなるような状況を生まないようにするか。
夢はとても現実的だったのに、
実際にそうなる様子が頭の中に想像できない。
だれかの隣で幸せになるより、
不幸でも自分の隣に置きたいか。
自分の手で幸せにするという選択肢がどうしても候補に入れられない。
なにしろ想像できない。
なぜこのままではいけないのだろう。
このまま、
変わらずいられるならそれが一番いいに決まってる。







「なんスか、陛下。
こわい顔しちゃって」
とっくりを逆さまにして、浩大は残った酒を飲み干した。
陛下から誘いがある日はいつも上質なものが用意されているから、
ついつい飲みすぎてしまう。
とはいっても浩大はザルなので、
浩大が飲みすぎて困るのは酒を用意している黎翔のほうだろう。
誘ったわりには話すわけでもない黎翔を見て、
浩大は自分から尋ねた。
浩大になにかを訊くわけでもなく、
自分から話すわけでもない。
黙ったまま浩大を見ては、
首を振ったり、睨んできたり、ぶつぶつ独り言をいう黎翔は、
いつも変だが殊更おかしかった。
「浩大、お前夕鈴をどう思う」
全く唐突だった。
正直どうとも思っていない。
黎翔の役に立つなら守るし、
邪魔になったら殺す。
アンタの命令どおりに扱いますよ、
と思うがそんなことを望んだ表情ではなかったため、
浩大は少しだけ考えた。
無難に答えておくべきか。
「まあおもしろいんじゃないですか」
「どういう意味で?」
無表情のまま黎翔が続ける。
「どういう意味って…
アンタが興味を持っているっていう意味で?」
「…お前はお前だな」
「?」
「わかった」
浩大は話がまったく見えないが、
それ以上黎翔が会話をする気がないのは分かった。
案の定黎翔は立ち上がって、
なにも言わないで部屋を出て行った。
「へーんな陛下」





ぎゃっ、と夕鈴は叫んだ。
突然窓から人の半身が出てきたらしょうがないだろう。
「色気のネー声だこと」
「…何よ」
「お妃ちゃん、
最近陛下となんかあった?」
「陛下?」
夕鈴が首をかしげた。
「えーと、
たまにちょっとぼーっとしてるけど…」
「なるほど」
「陛下がどうかしたの」
「いやあ、なんか変だから、
またお妃ちゃんと喧嘩でもしたのかナーと」
「やっぱり変なのかしら。
私もちょっと気になってたの」
「ふーん。
喧嘩じゃないならよく分かんネーし、
まあいっか」
「まあいいかってそんな…」
シュ、と鋭い音がして次の瞬間窓枠にはなにか刺さっていた。
筆記用具かなにか。
白昼堂々殺気丸出しで攻撃してくるなんて素人か、
と浩大が首を動かすとそこに立っていたのは国王陛下だ。
「陛下?」
「手がすべった」
「手がすべったってレベルじゃないっしょ~
お妃ちゃんに当たったらどうするんスか」
窓枠に刺さっていた尺を抜いて、黎翔に投げ返した。
黎翔は黙って夕鈴の腕を引く。
「陛下どうしたんですか」
「何の話をしていたのか気になってな」
「陛下がそんな小難しい顔ばっかしてるから、
お妃ちゃんが心配だってサ。
じゃ、オレ仕事に戻りまーす」
くるり、と軽く身を翻して浩大はあっという間にいなくなってしまった。
「逃げ足の速いやつだ」
「あのー…陛下」
夕鈴は黎翔の服の袖を握った。
「やっぱり何かあったんですか」
「…なにが?」
「最近ちょっと顔色が悪いですし」
「仕事つめすぎたかな」
「…」
「君が癒してくれるのか?」
夕鈴の髪をすくって、
指にすべらせ先端に口付けする。
カッと夕鈴の顔が赤くなったが、
逃げずにその場で黎翔を見つめている。
「言って下さらないと、
分からないんですからね」
そこで限界に達したのか、
捨て台詞のようにそう言って、夕鈴は黎翔から一歩引いた。
「具合が悪かったらちゃんと休むんですよ!」
ささっと逃げる様子は小動物のようだ。
人がいなくなると廊下は静かだった。
「言ったら逃げるじゃないか」
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うりうりさんへ
こんばんは~
もやもや陛下楽しんでいただけておりますでしょうか(笑)
陛下は全然モノローグがないから正直何を考えているんだか分からないですが、
そこを頭をひねっていろいろ考えるのが楽しいです。←Mッ気あるかも

陛下が夕鈴のことを好きなのか、
好きと自覚しているのか、
夕鈴が陛下を好きだと思う気持ちに気付いているのかいないのか、
選択肢がありすぎて、
陛下の心情は私もよく分かっておりません!とりあえず提案の1つとして読んでいただければと思います。
読みきりのときは夕鈴がすぐいなくなると思っていたからあの態度なのではないですかね。
しばらく一緒にいて、この先の一緒にいる可能性が出てきたからこそのあの臆病さかなーと。
陛下が何を考えようと、
最後夕鈴は「1人で解決しなくて大丈夫ですよ!私がなんとかしますよ!」とか言い出しそうですね。

大ちゃんは別にそんなに冷たい感じではないですが、
原作でも夕鈴のこと大事に扱う場面はないですよね。
一応応援してるっぽい気もするけど、
李順さんみたいに、色々考えて反対とか、克右さんみたいに認めてもいいんじゃないかという態度もなく、
陛下が気に入ってるなら別にいいし、いらないならいらないでいいけどーという態度に見えるんですよね!
そのへん私の妄想なのでうりうりさんには違和感なかったようでよかったです。

コメントありがとうございました!
らっこさんへ
らっこさんこんばんは~!
いつもお世話になっております!

楽しいですかw
まだまだ陛下の悪夢はちょこちょこ続きます。
夕鈴ってほんとに誰の隣にいても違和感なくて書いててびっくりしますね。
ほんとにどこでも幸せをつかめそう。
そんな夕鈴を自分のものにできるのか。陛下がんばれ!
陛下は自分からは前に出るのは出ようとするくせに、
相手から近づいてくるとエビみたいにシュッと逃げて本当に臆病というか…
もうちょっとがんばってほしいんですけどね。自分のこと上手く管理できてない人ですよね。
そういう感情と付き合ってくる機会がない人生だったのか。
まだラスト決まったような決まってないような状態なので、
陛下とお話しながら書き上げていこうと思います。
次も楽しんでくださったら嬉しいです。
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