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The snow was using a charm or maybe it cursed me.
■登場人物 陛下、夕鈴
■カップリング 陛下x夕鈴

・SNSでリクエストもらったもの
雪の温度とリンクしてます。
・寒い日に陛下と夕鈴が手をつなぐ話

陛下は夕鈴のことを意識しそうになっていて、
それを陛下自身が自覚していて、
それはまずい、と自分がまだ引き返せることを確かめようとしているような話です。
さく、さくと軽い音がする。
とても寒い冬だ。
固く凍った雪を踏んで歩く。
「こっちだよ」
あまりの寒さで全く外に出なくなってしまって、
やっと日が出たからと夕鈴を散歩に誘ったのは黎翔だった。
夕鈴も、
確かに運動不足だと思っていたから、、
すぐに頷いて外に飛び出した。

太陽が顔を覗かせていても、やはり寒い。
2人とも外の風を感じた瞬間震えてしまったが、
もうしっかり着込んでしまって今更部屋にこもっているのはもったいなかった。
中で温まってお茶でも飲むのなら後でだってできる。
黎翔が手を差し出すと、
夕鈴は頷いてその手をとり、階段を下りた。
ぎゅっと握ってもやはり冷たい。

黎翔は手をつないだまま少しだけ後ろを歩く夕鈴を見た。
まだ外に出て間もないのに鼻の頭は赤くなっている。
中に篭っているのも息がつまると思ったのだが、
無理をさせてしまっただろうか。

「夕鈴」
「はい?」
寒すぎて下を向いていた夕鈴は、
名前を呼ばれて驚いたように勢い良く顔をあげた。
意識がすっかり空気の寒さにもっていかれて、
自分が誰と歩いているのかも忘れてしまっていた。
「考え事?」
「考え事、というか…
どうしたら寒くないかなあと」
「戻る?」
「あ、そういう意味じゃないんです!」
せっかく2人で出てきたのに、
あっという間に戻るのはもったいない。
しかもこうしてなんでもないかのように手もつないでいるのに。
寒いせいで体温はあまり感じないけれど、
いつもより強く握っても誰にも責められないだろう。
「じゃあ池まで歩こうか」
すっかり凍りついた池は、近すぎないし遠すぎない。
「はい」
また歩き出して、
他愛もない話をする。
黎翔は時々夕鈴のことを見ては、
その赤い鼻が気になってしょうがない。
「夕鈴、手冷たいね」
「陛下だって」
「今日は夕鈴のほうが冷たいよ」
黎翔は握っていたのを一度放して、
夕鈴の指先を握った。
親指でさすって少しでも冷たくないようにしてあげたかった。
その感覚がくすぐったくて、
そして妙に色っぽくて、
夕鈴は思わず体をはねさせてしまった。
「…っ」
恥ずかしくなって下を向く。
「あ、ごめん」
夕鈴の様子がおかしくて、思わず謝ってしまう。
何を謝っているんだ、と黎翔は少し後悔した。
謝ったらまるで悪いことをしたみたいだと。
そう思ったときには遅くて、
夕鈴の顔はりんごのように真っ赤になっていた。
夕鈴は黎翔から逃げるように走り出して、
池のそばにある木にタッチした。
「この木から、後宮まで先に帰ったほうが勝ちです!」
「え?」
黎翔が何か言う前に、もう夕鈴は走っていた。
「ずるいよ!」
「ハンデですよ」
黎翔もすぐに池のそばに駆けていって、
木を触って夕鈴をおいかけた。
すぐに追いつけそうだ。
「…きゃっ」
夕鈴も中々速く走っていたのだが、
後宮につくまえに思いっきり転んでしまった。
「夕鈴!」
「いたた」
「大丈夫?」
「大丈夫です…」
「はい、手かして」
黎翔に手をかしてもらい、ゆっくり立ち上がった。
「うー…すみません」
しかし立ち上がった瞬間に黎翔にそのまま手をひっぱられた。
「なっ何するんですか!」
ぼす、と音を立て胸に飛び込む。
「寒かったから」
「じゃあ早く戻りましょうよ」
「このまま戻る」
「え?」
黎翔は夕鈴を抱き上げてしまった。

先ほどの指を握ったときもそうだが、
夕鈴の赤くなった顔が、
どうしても黎翔に罪悪感を抱かせる。
今はうまく表情を誤魔化せないだろう。
こんなに寒いのに顔は熱くて、
それを夕鈴に見られないように、
黎翔は夕鈴を強く抱きしめるしかなかった。

「難しいなあ」

ただ小さい動物のように、
かわいらしいだけならよかったけれど。
ぼそ、と呟いたが、
夕鈴はまだ重いから放してやら何やら腕の中で文句を言っているし、
雪で音は響かないし、
誰にも聞こえない。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

「はーっ、温かい」
「やっぱり中はいいですね」

後宮に戻るとすぐにお茶を淹れた。
温かい杯を握れば、
手もじんわりと温まる。

夕鈴はその温かさを逃がさないように、
目をつむってじっくりと感じていた。

「きゃーっ!」

しかし、突然冷たいものが首に当たって、
叫ぶと同時に杯が手からすべり落ちる。
黎翔はそれを素早く取り、
中身はこぼれなかった。

「なんてことをするんですか!」

まだ首に手を置いたままの黎翔を睨んだ。
ペシッと手を跳ねのける。

「寒くて」
「お茶落としちゃったじゃないですか」
「大丈夫だよ。こぼれてないし」
「そういう問題じゃないんですよー!」

顔を真っ赤にして夕鈴は怒る。
黎翔がにこにこと楽しそうなのが、余計に気に入らなかった。

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