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登場人物 夕鈴、陛下、李順
カップリング 陛下x夕鈴 

・カップリングと書くのはそろそろやめないといけないレベルに陛下x夕鈴です



「夕鈴殿」
暖かい光が格子窓から差し込んでいる昼下がり。
夕鈴は1人後宮でその暖かさの中でうつらうつらしていたところだった。
突然後ろから低く呪いのように自分の名前が聞こえて、
夕鈴は半分夢の中にいたのを無理に現実に引き戻され跳ね上がった。
「り、李順さん!」
「夕鈴殿、今居眠りをしていましたね?」
「え、なんでわかるんですか」
キッとにらまれ、夕鈴は言い訳もできない。
「口のはしによだれのあとがありますよ!なんて下品な」
「すみません・・・」
「だれも見ていないと思っていても、だれかが気づくものですよ。
つま先から指先、髪の毛の先まできっちりしていただかないと・・・」
いつもの姑トークか、とためいき交じりに夕鈴はしぶしぶ耳をかたむける。
小うるさい李順だが、彼の言うことは『まともなお妃に見える』ようにするために必要で、無視はできない。
庶民なんだから仕方ないと開き直っていては、きちんとしたバイトは勤まらない。
お金をもらっているというプライド(借金を返すためだとしても)があるから、
理不尽なことをいわれてもなんとかするしかない。
「貴女は色気がないんですよ」
「は?」
ぐちぐちと一連の文句がすんだかと思うと、李順は夕鈴を上から下までながめてそう言った。
「それは生まれつきというか・・・しょうがないと言いますか・・・」
バイトと家事に明け暮れた自分が色気なんて持ち合わせているわけがないだろう。
自覚していたこととはいえ、ひどい言われようだ。
「官吏の間でもひそひそ陰口を言われていますよ。
というわけで」
と、李順は後ろから小さな箱を取り出した。
慣れた手つきでふたを取り出し、さっと指に赤いものをつける。
夕鈴がぽかんと口を開けている間に頬と唇に紅を落とした。
「これだけでも雰囲気はかわります。これからスッピンで後宮の外に出ないように!」
李順は言いたいことを言い終えると、化粧道具を簡単にまとめて出て行った。
「すごい早業」
手鏡をとって覗いてみると、いつもよりほんの少し大人っぽくみえる気がした。






「あれ、ゆーりん今日いつもとちょっと違うね」
お茶と菓子を用意した夕鈴を黎翔が見つけた。
「そうですか?」
いつもはほとんど化粧をしない夕鈴だから、色の濃い紅をつけるのはなおのこと目に新しい。
自分でやったものではないが、黎翔に気づかれると少し恥ずかしく思う。
きっとこの化粧さまになるような人が、本物の妃にふさわしいのだろうが。
―――少しは近づけたのかな
化粧がこの王と庶民の自分の距離を少しでも近づけてくれるなら、
もっとうまくできるようになりたい。
こうして小さな変化がつながって、変えようのないものを変えてくれるのかもしれない。
「花びらみたいだね」
黎翔は自分の親指を夕鈴の唇に押し当てた。
そのまま紅をぬぐってしまう。
「キレイだけど、僕はいつもの夕鈴のほうがかわいくていいな」
「陛下・・・って、着物で拭いたらだめですよ!!」
黎翔が指についた赤色を着ているもので拭おうとしたのを見て、
夕鈴は慌てて黎翔の手をおさえた。
すぐ近くにあった布で黎翔の指を拭いた。
「あとで洗うからいいかなって」
「もう、服は雑巾じゃないんですよ」
「・・・貴女の持っているそれも雑巾じゃないんですよ」
「え?!」
ばっと後ろを振り向くと、小さく震えている李順だった。
「それはですね、先週隣の国から贈られた金刺繍の織物ですよ、夕鈴殿。
どうして貴女は、王宮にあるものを高価な順に壊したり汚したりするんでしょうねえ」
「え、あの・・・私・・・」
夕鈴の顔から血の気がひいて真っ青になる。
「今月も、よく働いてくださいね」

この調子では寝具や窓掛にも汚れをつけるのでは、
そんな李順の心配から、夕鈴の手に渡された紅は再度没収されることになった。



――――――――

(10.19.2011)

がんばって変わりたい夕鈴と
そのままでいてほしい陛下と
バイト妃としてやることやってもらいますよ、な李順と。


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